たとえば、「バツイチの人は手を挙げて」と言われても、人前では手を挙げにくいだろう。あるいは、中学・技術科や高校・情報科の授業中に「家にパソコンある人、手を挙げて」というと、本当は無いのに手を挙げたくなる生徒もいるかもしれない。今どきパソコンが無い家庭はおそらく少数派だろうから。
こんなとき、正直に答えてもらって、該当する人の割合を推定する良い方法がある。まず、各人にコインを投げてもらい、表が出たか裏が出たかをみてもらう。続いて「表が出た人かまたはバツイチの人は手を挙げてください」と言う。
この場合、手を挙げた人がバツイチかどうかは誰にもわからない。あるいは「表が出た人の中で、家にパソコンがある人は手を挙げてください」と言う。この場合、手を挙げていない人の家にパソコンがあるか無いかは誰にもわからない。だから、正直に答えてくれると期待できる。それでいて、バツイチの人の数、家にパソコンがある人の数がまぁまぁの精度で推定できる。
ここで【問題】です。
- 100人の人に「コインを投げて表が出た人またはバツイチの人は手を挙げてください」と質問したら54人が手を挙げた。このことから、バツイチの人の人数を推定せよ。
- 100人の人に「コインを投げて表が出た人の中で、家にパソコンがある人は手を挙げてください」と質問したら、41人が手を挙げた。このことから、家にパソコンがある人の人数を推定せよ。
コインを投げて表が出た人数も裏が出た人数も50人だったと仮定できる。
- (手を挙げた54人のうち4人は(裏が出たかつバツイチ)だと考えられる。すなわち、裏が出た50人のうちの4人がバツイチということだ。割合でいうと8%。そして、表が出た50人の中にもほぼ同じ割合でバツイチがいると考えられる。以上から、バツイチの人数は全部で8人だと推定できる。
- (表が出たかつ家にパソコンがある)人が41人いるということは、(裏が出たかつ家にパソコンがある)人もほぼ同数(41人)いると考えられる。以上から、家にパソコンがある人は全部で82人と推定できる。
中学・数学で学習する「場合の数と確率」の中で「標本調査」に触れ、その中で「推定」を扱っている。上の問題は「標本調査」ではないが、「確率」を使って「推定」しているという点ではニアピンである。
面白いネタだと思うので、中学・技術科か高校・情報科で統計をやる際には盛り込んでもいいかな、と思う。
大学入試で出題された類題は こちら をどうぞ。
0 件のコメント:
コメントを投稿