2019年12月12日木曜日

お年玉問題

ポチ袋の中に1円玉が入っています。ポチ袋には円形の穴が貫通しています(表面と裏面の同じ位置に同じ大きさの穴が開いている)。1円玉の直径は20mmで、ポチ袋の穴の直径は15mmです。
 ポチ袋のフタは糊付けされています。ポチ袋を破らずに1円玉を取り出せたら、あなたにあげます。お年玉です。
 ポチ袋を折ったり曲げたりしても構いません。さて、どうやったら1円玉を取り出せるでしょうか。



 空間図形の問題です。頭の中で考えるだけでは難しいかもしれませんが、実際にあれこれやってみると、そのうちにたぶんポロっと出てきますよ。手順を示しましょう。
 まず穴の中心あたりを通る直線状にポチ袋を半分に折ります。この段階ではもちろん1円玉は穴を通りません。(図2)
 次に折り目の両端を手でつまんで内側に押します。力加減と向きを調整しながら押し込むと(図3)のようになります。このとき穴を上から見ると楕円状に見えます。楕円の長軸を長くするには、押し込む向きをやや下向きにするのがコツです。楕円の長軸が1円玉の直径より長くなれば、そこから1円玉がポロっと出てきます。完成です。(図3)


 元の穴の直径 15mm は1円玉の直径 20mm より小さいので、そのままでは1円玉は穴を通りません。でも、穴の周の長さは 15π=47.1mm で、その半分 23.55mm が1円玉の直径 20mm より大きいので、うまくやれば1円玉は穴を通り抜けられるというわけです。
 なお、穴の曲線の長さはいつも 15π=47.1mm ですが、(図3)では高さ方向に幅があるので、上から見たときの楕円状の周の長さはそれよりは短くなります。ですから、直径 15π/2=23.55mm の円板が通るわけではありません。長軸が最大でどこまで長くなるかは別の問題ですが、でも確実に 20mm よりは長くなるので、上の手順で【問題】は解決します。めでたしめでたし。

紙に空いた穴を通り抜ける円板の大きさ

【問】紙に直径10cmの円形の穴が空いている。紙を破らずになるべく大きな円板を通したい。円板の直径は最大で何cmか。(図1)



 「直径10cmの円形の穴を通り抜ける円板の直径は10cm以下でなければならない」とお考えでしょうか。いや、穴が空いている紙を折ったり曲げたりすれば、直径10cmより大きな円板を通すことができます。先日、数学関係のイベントで「円形の穴の空いたポチ袋を破らずに、ポチ袋に入っている穴より大きなコインを取り出す」というプレゼンをしました。どのようにすれば良いかは、こちら をご覧ください。
 今日考えるのは「どこまでの大きさの円板なら穴を通り抜けられるか」です。「紙に空いた円形の穴を通り抜ける円板の直径の最大値はいくつか」です。プレゼンした時点ではそれについてはわからなかったのですが、プレゼンした後で出席者の一人が一緒に考えてくれて、以下の結論を得ました。



 円形の穴でなく、直径 10cm の円に内接する正方形の穴が空いていると考えよう(図2)。なぜそう考えるかというと、この正方形の穴は円形の穴より小さいが、それら2つの穴を通る円板の大きさの最大値が結果として同じになるからだ。そして円形の穴で考えるより、正方形の穴で考えた方が考えやすいからだ。この場合、正方形の1辺の長さは 5√2=7.07cm である。
 この紙の2か所をつまんで中に押し込む。(図3)のようにあらかじめ山折り・谷折りに折っておくとやりやすい。このとき紙は立体的な形となり、穴は上に盛り上がってくる。もともと正方形だった穴はひし形となる(図4)。
 さらにつまんだ2か所を押し込むと、やがて正方形がつぶれて(図5)のように一直線状になる。このときの紙の形を横から見ると(図6)のようになる。このときの隙間状の穴は、元々の正方形の1辺の長さの2倍=10√2=14.14cm となる。すなわち、この正方形の穴を通り抜ける円板の直径は最大で 10√2=14.14cm である。


 元の穴が直径 10cm の円形なら、上と同じように紙を組み立てたときの形を上から見ると(図5)と同じになり、横から見ると(図6)の点線のようになる。この場合も穴を通り抜ける円板の直径の最大値は、先ほどと同じである。
 以上から「紙に空いた直径10cmの円形の穴を通り抜けられる円板の直径の最大値は10√2=14.14cm」である。一般に「円板の直径が穴の円の直径の √2 倍までなら円板は穴を通り抜けられる」ということだ。//

2019年12月9日月曜日

★ 論理クイズ

☆ n枚のカード問題
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_70.html )
◇ 1枚のカード問題
◇ 3枚のカード問題
◇ 4枚のカード問題

☆ 悪魔か天使か妖精か
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_48.html )
◇ 天使か悪魔か妖精か(1)
◇ 天使か悪魔か妖精か(2)  , (3)
◇ 天使か悪魔か、天国か地獄か

☆ 帽子は何色?
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_27.html )
◇ 背中のシールは何色か?
◇ 頭の上の帽子は何色か?(1)
◇ 頭の上の帽子は何色か?(2)

 もうすぐ勤務校で冬休みの講習があって、私が担当する講習のタイトルは「論理式とゲーム理論の目線で社会を見る」。初日にいきなり論理式関連のサンプルとして上の「悪魔か天使か妖精か」を、ゲーム理論関連のサンプルとして「帽子は何色?」をやろうと思う。楽しみながら論理式とゲーム理論の考え方のイメージをつかんでくれるだろう。
 「n枚のカード問題」のうち「1枚のカード問題」と「4枚のカード問題」も論理式関連である。講習の中で練習問題とする予定。「3枚のカード問題」は条件付き確率の問題なので、夏休みの講習「人工知能時代の確率・統計の学び方 with エクセル」に組み込む。

☆ 帽子は何色?

 以下の文において、登場人物は全員が正直に話し、他人の発言を疑わずに聞き、論理的な思考ができるものとします。

(1)  空欄  ア  〜  ウ  に「」か「」を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君の3人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。D君が「赤いシールが2枚と青いシールが1枚ある」ことを3人に伝え、A君, B君, C君の背中にシールを1枚ずつ貼りました。B君はA君の背中が見え、C君はB君の背中が見えますが、それ以外は誰の背中も見えません。
 B君が「僕の背中に貼ってあるカードの色がわかった」と言いました。その言葉を聞いて、A君とC君も自分の背中に貼ってある文字がわかりました。このとき、A君, B君, C君の背中に貼ってあるシールの色は順に  ア  イ  ウ  です。

(2)  空欄  エ  〜  カ  に「」,「」,「」のいずれかを、空欄  キ  ク  に「同じ」か「異なる」を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君の3人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。D君が「青い帽子と赤い帽子が2つずつある」ことを3人に伝え、A君, B君, C君に帽子を1つずつ被らせました。B君はA君の帽子が見え、C君はA君の帽子とB君の帽子が見えますが、他の帽子は見えません。
 A君, B君, C君の3人は自分が被っている帽子の色がわかったら「わかった」と言い、わからなければ「わからない」と言うことにします。
 自分が被っている帽子の色が必ずわかるのは  エ  君です。 オ  君が「わかった」と言うときは  エ  君が被っている帽子の色は  カ  君が被っている帽子の色と  キ  色の帽子で、 オ  君が「わからない」と言うときは  エ  君が被っている帽子の色は  カ  君が被っている帽子の色と  ク  色の帽子です。
 また、自分が被っている帽子の色が絶対にわからないのは  カ  君です。

(3)  空欄  ケ  〜  シ 自然数を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君, D君, E君の5人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。F君が「青い帽子と赤い帽子が3つずつある」ことを5人に伝え、5人に帽子を1つずつ被らせました。自分より前に並んでいる人の帽子は見えますが、自分が被っている帽子と自分より後ろに並んでいる人の帽子は見えません。

① 5人は自分が被っている帽子の色がわかったらその色を(「青」または「赤」と)言い、わからなかったら「わからない」と言うことにします。この状況で自分が被っている帽子の色が確実にわかるのは、5人のうち  ケ  人かまたは  コ  人です。

② 5人は自分が被っている帽子の色がわかったら「わかった」と言い、わからなかったら「わからない」と言うことにします。この状況で自分が被っている帽子の色が確実にわかるのは、5人のうち  サ   人かまたは  シ  人です。



 ゲーム理論系の問題です。《答え》は以下をどうぞ。
◇ 背中のシールは何色か?
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_13.html )
◇ 頭の上の帽子は何色か?(1)
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_12.html )
◇ 頭の上の帽子は何色か?(2)
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_9.html )

背中のシールは何色か?

 以下の文において、登場人物は全員が正直に話し、他人の発言を疑わずに聞き、論理的な思考ができるものとします。

(1)  空欄  ア  〜  ウ  に「」か「」を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君の3人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。D君が「赤いシールが2枚と青いシールが1枚ある」ことを3人に伝え、A君, B君, C君の背中にシールを1枚ずつ貼りました。B君はA君の背中が見え、C君はB君の背中が見えますが、それ以外は誰の背中も見えません。
 B君が「僕の背中に貼ってあるカードの色がわかった」と言いました。その言葉を聞いて、A君とC君も自分の背中に貼ってある文字がわかりました。このとき、A君, B君, C君の背中に貼ってあるシールの色は順に  ア  ,  イ  ,  ウ  です。




(1) ア 青  イ 赤  ウ 赤

頭の上の帽子は何色か?(1)

 以下の文において、登場人物は全員が正直に話し、他人の発言を疑わずに聞き、論理的な思考ができるものとします。

(2)  空欄  エ  〜  カ  に「」,「」,「」のいずれかを、空欄  キ  ,  ク  に「同じ」か「異なる」を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君の3人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。D君が「青い帽子と赤い帽子が2つずつある」ことを3人に伝え、A君, B君, C君に帽子を1つずつ被らせました。B君はA君の帽子が見え、C君はA君の帽子とB君の帽子が見えますが、他の帽子は見えません。
 A君, B君, C君の3人は自分が被っている帽子の色がわかったら「わかった」と言い、わからなければ「わからない」と言うことにします。
 自分が被っている帽子の色が必ずわかるのは  エ  君です。 オ  君が「わかった」と言うときは  エ  君が被っている帽子の色は  カ  君が被っている帽子の色と  キ  色の帽子で、 オ  君が「わからない」と言うときは  エ  君が被っている帽子の色は  カ  君が被っている帽子の色と  ク  色の帽子です。
 また、自分が被っている帽子の色が絶対にわからないのは  カ  君です。




(2) エ  B  オ C  カ A  キ 同じ  ク 異なる

頭の上の帽子は何色か?(2)

 以下の文において、登場人物は全員が正直に話し、他人の発言を疑わずに聞き、論理的な思考ができるものとします。

(3)  空欄  ケ  〜  シ  に自然数を入れて、文を完成させなさい。
 A君, B君, C君, D君, E君の5人がこの順に前を向いて1列に並んでいます。F君が「青い帽子と赤い帽子が3つずつある」ことを5人に伝え、5人に帽子を1つずつ被らせました。自分より前に並んでいる人の帽子は見えますが、自分が被っている帽子と自分より後ろに並んでいる人の帽子は見えません。

① 5人は自分が被っている帽子の色がわかったらその色を(「青」または「赤」と)言い、わからなかったら「わからない」と言うことにします。この状況で自分が被っている帽子の色が確実にわかるのは、5人のうち  ケ  人かまたは  コ  人です。

② 5人は自分が被っている帽子の色がわかったら「わかった」と言い、わからなかったら「わからない」と言うことにします。この状況で自分が被っている帽子の色が確実にわかるのは、5人のうち  サ  人かまたは  シ  人です。



《解説・解答》

◯ もともと一番情報量の多いのはE。Eがわかるのは、前4人が「青3赤1」の場合と「青1赤3」の場合で、Eが「青」と言えば「青1赤3」であり、Eが「赤」と言えば「青3赤1」であることは、他の人にもわかる。
 続いてDがわかる。前3人の帽子の色が見えているからである。Dの発言を聞いてCがわかり、Cの発言を聞いてBがわかり、Bの発言を聞いてAもわかる。こうして5人全員、自分が被っている帽子の色がわかることになる。
◯ Eがわからないのは、前4人が「青2赤2」の場合。ここでEが「わからない」と言えば「青2赤2」であることは、他の人にもわかる。
 この時点でDがわかる。前3人の帽子の色が見えているからである。Dの発言を聞いてCがわかり、Cの発言を聞いてBがわかり、Bの発言を聞いてAもわかる。こうしてE以外の4人が自分が被っている帽子の色がわかることになる。
◯ 以上から、①の《答え》は「ケ  コ 」である。(「ケ  コ 」も可)


◯ もともと一番情報量の多いのはE。Eがわかるのは、前4人が「青3赤1」の場合と「青1赤3」の場合で、Eが「わかった」と言えば「青1赤3」か「青3赤1」かのどちらかであることは、他の人にもわかる。
 続いてDがわかる。前3人の帽子が同じ色なら、他の色。前3人の帽子が青と赤の両方あるなら、その多い方の色。そこでDは必ず「わかった」と言うのだが、他の人には色についての情報は伝わらないので、A,B,Cは自分の帽子の色はわからない。この場合、自分の帽子の色がわかるのはDとEの2人である。
◯ Eがわからないのは、前4人が「青2赤2」の場合。ここでEが「わからない」と言えば「青2赤2」であることは、他の人にもわかる。
 こうしてDは、自分が被っている帽子の色が「前3人の帽子の色のうち少ない方の色」だとわかる。そこでDは必ず「わかった」と言う。
◯ この時点でA,Bの帽子の色が「青青」ならCは自分の帽子の色が「赤」だとわかり、「赤赤」ならCは自分の帽子の色が「青」だとわかるが、「青赤」「赤青」の場合はCは自分の帽子の色がわからない。
◯ Eが「わからない」場合、Dは必ず「わかった」と言うのだが、Cが「わかった」と言う場合は「AとBの帽子は同じ色」ということになり、Cが「わからない」と言う場合は「AとBの帽子は異なる色」ということになる。BにはAの帽子が見えているのだから、Cの発言を聞けばBは必ず自分の帽子の色がわかることになる。残るAは絶対にわからない。
◯ 以上から、自分の帽子の色がわかるのは「D,Eの2人」,「B,C,Dの3人」,「B,Dの2人」のいずれかである。
よって②の《答え》は「サ  シ 」である。(「サ  シ 」も可)

☆ n枚のカード問題

◯ 1枚のカード問題
 カードが1枚あって、片面に数字の 9 が書いてあり、もう片方の面にも1つの自然数が書いてあります。
 「奇数の裏面は素数」(奇数が書かれている面の反対の面には素数が書かれている)が正しいとすると、9 の反対の面に書かれている数字は何ですか。

◯ 3枚のカード問題
 両面が白のカードが1枚、両面が黒のカードが1枚、片面が白で片面が黒のカードが1枚、全部で3枚のカードがあります。
 袋の中から1枚を選んでテーブルの上に置いたら、上面は白でした。そのカードをめくったとき、下面が白である確率はいくつですか?

◯ 4枚のカード問題
 4枚のカードがあって、片面には数字1つが、もう片面にはアルファベット1文字が書いてあります。ある情報筋によると「偶数の裏は母音である」という話です。
 なるべく少ない枚数のカードをめくって「偶数の裏は母音である」がホントかウソか確かめるには、どのカードをめくればいいでしょうか。

┌─┐  ┌─┐  ┌─┐  ┌─┐
      
└─┘  └─┘  └─┘  └─┘

※ そそうに答えると間違えますよ。



《解説・解答》は以下をどうぞ。
◇ 1枚のカード問題
 (→  https://omori55.blogspot.com/2019/03/blog-post_22.html )
◇ 3枚のカード問題
 (→  https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_8.html )
◇ 4枚のカード問題
 (→  https://omori55.blogspot.com/2019/03/blog-post_10.html )

1枚のカード問題

【問題】
 カードが1枚あって、片面に数字の 9 が書いてあり、もう片方の面にも1つの自然数が書いてあります。
 「奇数の裏面は素数」(奇数が書かれている面の反対の面には素数が書かれている)が正しいとすると、9 の反対の面に書かれている数字は何ですか。



《解説》
9 は奇数だから、条件「片面が奇数 ⇒ その裏面は素数」より、9 の裏面は素数である。… ①
次に、対偶を考える。対偶は「片面が素数でない ⇒ その裏面は偶数」である。
9 は素数でないし、「元の条件が正しい ⇔ 対偶も正しい」から、9 の裏面は偶数である。… ②
① , ②より、9 の裏面に書かれている数は「素数であり かつ 偶数である数」である。
そのような数は1つしかない。

①は納得できるが、②は納得できないという人のために、X に適当な数を入れて試してみよう。
X=3 の場合、「9 の裏が 3」は条件「奇数の裏面は素数」に合うようにみえるが、
表と裏を入れ替えてみると「3(奇数)の裏が 9(素数でない)」となって、条件に合わない。
X=2 の場合、「9 の裏が 2」は条件「奇数の裏面は素数」を満たすし、
表と裏を入れ替えて「2 の裏が 9」としても条件「奇数の裏面は素数」に矛盾しない。
つまり、正しい。



《答え》 2


4枚のカード問題

【問題】
 4枚のカードがあって、片面には数字1つが、もう片面にはアルファベット1文字が書いてあります。ある情報筋によると「偶数の裏は母音である」という話です。(どちらの面を表にしても、命題「片面が偶数 ⇒ その反対の面が母音」が真)
なるべく少ない枚数のカードをめくって「偶数の裏は母音である」がホントかウソか確かめるには、どのカードをめくればいいでしょうか。



《解説》
P:カードの片面が偶数  Q:カードの片面が母音  とする。
「偶数の裏は母音である」を論理式で書くと「P ⇒ Q」となる。
さて、「P ⇒ Q」の真理値は右表のようになる。
(表の 1 は 真 を、0 は 偽 を表す)
表で「P ⇒ Q」の欄が 0 になっているのは表の2行目だけだから、
P が 真 のときと Q が 偽 のときだけを調べれば十分である。
P が 真 のときというのは「片面が偶数」のときだから、「6」のカードにあたる。
Q が 偽 のときというのは「片面が子音」のときだから、「T」のカードにあたる。
「偶数の裏は母音である」がウソといえるのは、「6」の裏が子音のときか「T」の裏が偶数のときだけである。

 以上の説明で十分なはずだが、念のため「3」と「A」のカードについても確認してみよう。
「3」は奇数 すなわち P=0 だから、表の3行目と4行目をみると「P ⇒ Q」はどちらも 1 。
「A」は母音 すなわち Q=1 だから、表の1行目と3行目をみると「P ⇒ Q」はどちらも 1 。
つまり「3」と「A」のカードは、めくって何が出ても「偶数の裏は母音」の正しさは揺らがない。

まだ信じない人のために、試しに「A」のカードをめくってみることを考えよう。
もし「A」の裏面が偶数だったら、「偶数の裏が母音」だということになり文句なく正しい。
もし奇数なら「奇数の裏が母音」ということになるが、「偶数の裏は母音」が間違っていることにはならない。
結局のところ、「A」をめくって何が出ても「偶数の裏は母音」は正しい。
だから、めくっても無駄なのだ。



《 答え 》
」と「」の2枚のカードをめくればよい。


2019年12月8日日曜日

3枚のカード問題

 両面が白のカードが1枚、両面が黒のカードが1枚、片面が白で片面が黒のカードが1枚、全部で3枚のカードがあります。
 袋の中から1枚を選んでテーブルの上に置いたら、上面は白でした。そのカードをめくったとき、下面が白である確率はいくつですか?

表  □ ■ □
裏  □ ■ ■



《A君の答え》
上面が白で下面も白となるのは、両面が白のカードを取った場合だけ。つまり3枚のうちの1枚だから、求める確率は 1/3 である。

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

《B君の答え》
上面が白になるのは、白白のカードと白黒のカードの場合で、このうち裏返しても白なのは白白のカードだけ。よって、求める確率は 1/2 である。

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

《C君の答え》
カードの選び方が3通り、どちらを上にして置くかで2通り、全部で6通りと考える。

 上   白1 白2 黒1 黒2 白3 黒3
 下   白2 白1 黒2 黒1 黒3 白3

上が白   ◯  ◯       ◯   
下も白   ◯  ◯           

このうち上面が白であるのは3通り。この3通りのうち、下面が白であるのは2通り。
よって、求める(条件つき)確率は 2/3 である。


※ 正しいのはどれだ!? あるいは どれも間違っているのか?

2019年12月6日金曜日

☆ 天使か悪魔か妖精か

 天使はいつも本当のことを言う。悪魔はいつもウソをつく。妖精は気まぐれで、本当のことを言うこともあれば、ウソをつくこともある。
○ 数学の授業中に「場合分け」の練習のつもりで出した。
 目の前に天使か悪魔か妖精がいる。彼が「私は天使ではありません」と言った。彼は何者か?


○ その発展形を2学期の期末試験に出した。
 A,B,Cの3人のうち、1人は天使で、1人は悪魔で、1人は妖精である。A,B,Cが次のように言った。
A:「私は天使です」
B:「私は悪魔です」
C:「私は妖精です」
 さて、A,B,Cはそれぞれ何者か?


○ 続いて復習として冬休みの課題にも出す。
 Aさんが歩いていくと、道が左右に二股に分かれていた。片方は天国に通じる道で、もう片方は地獄に通じる道である。どちらが天国に通じる道で、どちらが地獄に通じる道かは分からない。
 分かれ道に何かがいる。天使なのか悪魔なのかは分からないが、天使か悪魔かのどちらかである。
 Aさんはその者に1つだけ質問できる。さて、この状況で、天国に至る道を確実に知るには、どんな質問をしたらよいだろうか?
<ヒント:裏の裏は表である。ウソのウソはホントになる!?>


《解説・解答》は以下をどうぞ。
◇ 天使か悪魔か妖精か(1)
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/11/blog-post_27.html
◇ 天使か悪魔か妖精か(2)
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_77.html
◇ 天使か悪魔か妖精か(3)
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_11.html
◇ 天使か悪魔か、天国か地獄か
 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/12/blog-post_86.html
楽しんでくれればいい。

天使か悪魔か、天国か地獄か

 Aさんが歩いていくと、道が左右に二股に分かれていた。片方は天国に通じる道で、もう片方は地獄に通じる道である。どちらが天国に通じる道で、どちらが地獄に通じる道かは分からない。
 分かれ道に何かがいる。天使なのか悪魔なのかは分からないが、天使か悪魔かのどちらかである。天使はいつも本当のことを言う。悪魔はいつもウソをつく。
 さて、この状況でAさんがその者に「天国に行く道はどっちですか?」と尋ねても何にもならない。その者が本当のことを言っている(天使)か、ウソをついている(悪魔)かが分からないからである。
 また、「あなたは悪魔ですか?」という問いも役に立たない。相手は必ず「(ア)」と答えるからである。「あなたは天使ですか?」と尋ねても同様で、その場合は必ず「(イ)」という答えが返ってくる。
 さて、天国に至る道を確実に知るには、どうしたら良いだろうか。2つの質問をして良いなら、次のような質問の仕方がある。まず初めに「1+1=2ですか?」と尋ねて、次に「天国に行く道はどっちですか?」と尋ねれば良いのである。
 あるいは初めに「豊臣秀吉の奥さんは卑弥呼ですか?」と尋ねても良い。それに対する答えが「はい」だった場合、続いて「天国に行く道はどっちですか?」と尋ねたときに相手が指差す道は(ウ)に通じる道である。

(1) 空欄(ア).(イ)に「はい」か「いいえ」を、空欄(ウ)に「天国」か「地獄」を入れて上の文章を完成させてください。

(2) 1つの質問しか許されないとしたら、どんな質問をすれば良いだろうか。
 実は、1つの質問で確実に天国に通じる道が分かる、そんな問いかけがある。その具体例を1つ書いてください。
 また、その質問に対する相手の答え方によってどのように判断すれば良いかを説明してください。
<ヒント:裏の裏は表である。ウソのウソはホントになる!?>




《答え》
(1)  いいえ    はい     地獄   

(2) 《質問の例》
「天国に通じる道は右側の道ですか?」と聞かれたら、あなたは「はい」と答えますか?

《判断の仕方》
彼が「はい」と答えたら右側の道へ、「いいえ」と答えたら左側の道へ進む。

天使か悪魔か妖精か(3)

 天使はいつも本当のことを言う。悪魔はいつもウソをつく。妖精は気まぐれで、本当のことを言うこともあれば、ウソをつくこともある。
 A,B,Cの3人のうち、1人は天使で、1人は悪魔で、1人は妖精である。A,B,Cが次のように言った。
A:「私は天使ではありません」
B:「私は悪魔ではありません」

C:「私は妖精ではありません」
 さて、A,B,Cはそれぞれ何者か?

※《答え》は次の選択肢ア〜カから選んでください。

天使天使悪魔悪魔妖精妖精
悪魔妖精天使妖精天使悪魔
妖精悪魔妖精天使悪魔天使



○ Aの発言は、実は妖精にしか言えないことなのだ。なぜなら、
  ・「Aが天使」なら、Aがウソをついていることになるから、矛盾する。
  ・「Aが悪魔」なら、Aが本当のことを言っていることになるから、矛盾する。
  ・「Aが妖精」なら、Aが本当のことを言っていることになるが、矛盾しない。
  以上から、Aは妖精 であることがわかる。

○ そうなるとBとCのどちらかが天使でどちらかが悪魔だが、
  どちらが天使でどちらが悪魔かはBの発言からは決まらない。
  ・「Bが天使」ならBが本当のことを言っていることになり、
  ・「Bが悪魔」ならBがウソをついていることになって、いずれにしても矛盾しない
  からである。

○ ところでCの発言は、天使と悪魔の両者にとって正しいことである。
  だからCは悪魔ではない。したがって、Cは天使 である。こうして、Bは悪魔 である。

以上から、《答え》は  カ「A:妖精 ,B:悪魔 ,C:天使」 である。



A,B,Cの発言が次のようだったら、どうだろうか。
A:「Bは天使ではありません」
B:「Cは悪魔ではありません」

C:「Aは妖精ではありません」
この場合、A,B,Cはそれぞれ何者か?



 前の問題は「自分のこと」を語っていたわけだが、「他人のこと」を語るとより難易度がアップします。

○ 「Aが天使」ならその発言「Bは天使でない」は正しい。これは矛盾しない。
  このときBとCは悪魔か妖精かのどちらかであるが、
  ・Bが悪魔だったら、Bの発言「Cは悪魔でない」が正しいので、矛盾する。
  ・Cが悪魔だったら、Cの発言「Aは妖精でない」が正しいので、矛盾する。
  以上から、Aは天使ではない。

○ 「Aが悪魔」ならAの発言「Bは天使でない」がウソ、すなわち「Bは天使」ということになる。
  このとき「Cは妖精」となるが、B(天使)の発言が正しいから、矛盾しない。
  よって「A:悪魔 ,B:天使 ,C:妖精」がありうることになる。

○ 「Aが妖精」ならAの発言は無視して考えてよい。
  このときBとCは天使か悪魔のいずれかだが、Cの発言「Aは妖精でない」がウソなので、「Cは悪魔」である。
  そうなると「Bは天使」だが、Bの発言「Cは悪魔でない」がウソなので矛盾する。

以上から、《答え》は 「A:悪魔 ,B:天使 ,C:妖精」である。



他のパターンも見てみよう。3人の発言の中に「A・B・Cが1回ずつ、天使・悪魔・妖精が1回ずつ」出てくるパターンは他に4通りある。
A:「Cは天使でない」
B:「Aは悪魔でない」
C:「Bは妖精でない」
なら  イ「A:天使 ,B:妖精 ,C:悪魔」と1つに決まる。
A:「私は天使でない」
B:「Cは悪魔でない」
C:「Bは妖精でない」
このパターンはどの組み合わせにおいても矛盾するから、このような発言はありえない
A:「Cは天使でない」
B:「私は悪魔でない」
C:「Aは妖精でない」
なら「A:天使 ,B:悪魔 ,C:妖精」か「A:悪魔 ,B:妖精 ,C:天使」か「A:妖精 ,B:天使 ,C:悪魔」のいずれかで、1つに決まらない
A:「Bは天使でない」
B:「Aは悪魔でない」
C:「私は妖精でない」
このパターンもどの組み合わせにおいても矛盾するから、ありえない

天使か悪魔か妖精か(2)

 天使はいつも本当のことを言う。悪魔はいつもウソをつく。妖精は気まぐれで、本当のことを言うこともあれば、ウソをつくこともある。
 A,B,Cの3人のうち、1人は天使で、1人は悪魔で、1人は妖精である。A,B,Cが次のように言った。
A:「私は天使です」
B:「私は悪魔です」

C:「私は妖精です」
 さて、A,B,Cはそれぞれ何者か?

※《答え》は次の選択肢ア〜カから選んでください。

天使天使悪魔悪魔妖精妖精
悪魔妖精天使妖精天使悪魔
妖精悪魔妖精天使悪魔天使



○ Aの発言は天使でも悪魔でも妖精でも言えることだが、天使が言えるのはAの発言だけ。
  B,Cの発言を天使がしたら、天使がウソをついていることになってしまうからである。
  したがって、Aは天使 である。

○ Bの発言に注目しよう。実はこの発言は妖精にしか言えないことなのだ。なぜなら、
    ・「Bが天使」なら、Bがウソをついていることになるから、矛盾する。
    ・「Bが悪魔」なら、Bが本当のことを言っていることになるから、矛盾する。
    ・「Bが妖精」なら、妖精は本当でもウソでも言えるので、何を言っても矛盾しない。
  以上から、Bは妖精 である。

○ Cの発言は、天使は言わない(ウソをついていることになる)が、悪魔と妖精は言える。
  ところで、Bが妖精であることは上でわかったので、Cは悪魔 である。

以上から、《答え》は  イ「A:天使 ,B:妖精 ,C:悪魔」 である。



A,B,Cの発言が次のようだったら、どうだろうか。
A:「Bは天使です」
B:「Cは悪魔です」

C:「Aは妖精です」
この場合、A,B,Cはそれぞれ何者か?



 前の問題は「自分のこと」を語っていたわけだが、「他人のこと」を語るとより難易度がアップします。

○ 「Aが天使」ならその発言「Bは天使」が正しいことになるが、
  天使が2人いることになって矛盾する。

○ 「Aが悪魔」ならその発言「Bは天使」がウソ、すなわち「Bは妖精」ということになる。
  このとき残りの「Cは天使」となるが、その発言「Aは妖精」がウソになって、矛盾する。

○ 「Aが妖精」ならAの発言は無視して考えてよい。
  このときBとCは天使か悪魔のいずれかだが、
  ・「Bが天使で、Cが悪魔」なら、Cの発言「Aは妖精」が正しいことになって矛盾する。
  ・「Bが悪魔で、Cが天使」なら、Bの発言「Cは悪魔」がウソになって矛盾せず、
   Cの発言「Aが妖精」は正しいのでこれも矛盾しない。

以上から、《答え》は  カ「A:妖精 ,B:悪魔 ,C:天使」 である。



他のパターンも見てみよう。3人の発言の中に「A・B・Cが1回ずつ、天使・悪魔・妖精が1回ずつ」出てくるパターンは他に4通りある。
A:「Cは天使です」
B:「Aは悪魔です」
C:「Bは妖精です」
なら、「A:悪魔 ,B:天使 ,C:妖精」と1つに決まる。
A:「私は天使です」
B:「Cは悪魔です」
C:「Bは妖精です」
なら「A:天使 ,B:悪魔 ,C:妖精」か「A:悪魔 ,B:妖精 ,C:天使」のどちらかで、1つに決まらない
A:「Cは天使です」
B:「私は悪魔です」
C:「Aは妖精です」
このパターンはどの組み合わせにおいても矛盾するから、このような発言はありえない。
A:「Bは天使です」
B:「Aは悪魔です」
C:「私は妖精です」
このパターンもどの組み合わせにおいても矛盾するから、このような発言もありえない