2020年8月27日木曜日

病名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2


 WHOは2月11日、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した。コロナウイルス感染症と感染者が報告された2019年を組み合わせたもの。
 COVID-19の「CO」は「corona」、「VI」は「virus」、「D」は「disease」の意味となる。

 一方、ウイルス名については、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)が2月7日までに、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして「SARS-CoV-2」と名付けている。

(画像は国立感染症研究所のもの)


2020年8月18日火曜日

論理にはいろいろある

 「論理」あるいは「論理的」という言葉は実は非常にあいまいな言葉であって、現実にはいろんな意味合いで使われます。4つに分けて考えてみましょう。

   ① 記号論理
   ② 数学の論理
   ③ 科学の論理
   ④ 議論の論理

 ①「記号論理」は論理学の分類では「演繹(えんえき)」と呼ばれるもので、たとえば三段論法がこれに含まれます。古代ギリシャのアリストテレスの時代にほぼ完成したもので「古典論理」と呼ばれることもありますが、実は現代社会においてコンピュータの世界で大活躍しています。この論理はまさに「機械的な論理」であって、これは確実に100%正しい。
 ②「数学の論理」はいわば「論理の枠組み」です。そこには人の捉え方や感性やアイデアが実はふんだんに盛り込まれていて、意外にも人間的な面を備えています。ところで、論理の枠組みですから、その枠組みの中において「正しい」のは必然です。でも枠組みが変われば、覆る可能性はあります。
 ③「科学の論理」は論理学の分類でいえば 「帰納(きのう)」に当たります。それは「反例が見つかっていないから、また他のことと矛盾しないから、とりあえず正しいものと見なそう」ということであって、いわば「経験的な論理」と言えるでしょう。そして、ということは、科学において100%正しいということは原理的にあり得ないことなのです。
 ④「議論の論理」に必要なのは「説得力」です。そのために「根拠・理由」を挙げる。そうして他人の理解・支持・共感を得ることが、この論理の目的です。また、自分でいろんな可能性を検討する際にも、納得する際にも、この論理は使われます。まさに「普段使いの論理」です。ところで、正しさを示すことが議論の目的ではありませんよ。そもそも絶対に正しいことなら、最初から議論になりませんから。

 同じ「論理」という言葉を使っても、意味合いはこんなにも違うのです。「論理的な考え方」と言ったり、「間違った論理」と言ったりしますが、その「論理」の意味が ①なのか ②なのか ③なのか ④なのかによって、文脈がまるで違ってきます。
 そもそも「正しいことを言う」のが論理ではありません。中でも「科学」は「間違える可能性がある」ことが「前提条件」です。また「正しいとは言えない」から「議論」になるんですね。そこを分かっていないと、コロナ報道に振り回されちゃいますよ。科学に基づいた議論であれば、見解が一致しない方がむしろ自然なのです。
 では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。素人なりに見聞きして、考えて、判断して、発言して、行動すれば良いのだと思います。それでいて専門家と精度はさほど変わらないでしょうから、たぶん。

2020年8月13日木曜日

★ オンライン授業 ーシーズン1ー

◇ 数学ⅠA(1回目) 5/16(土)     コロナ禍中の確率計算 + 2次関数
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/05/blog-post_13.html )
 (動画 → https://youtu.be/RzX2JEOwi7s

◇ 数学ⅠA(2回目) 5/23(土)  コロナを読み解く指数・対数 + 2次関数
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/05/blog-post_23.html )
 (動画 → https://youtu.be/D_ji25FXa6o

◇ 数学ⅠA(3回目) 5/30(土)   三角関係の法則・地理の時間 + 三角比
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/05/blog-post_30.html )
 (動画 → https://youtu.be/a1866ZZCorghttps://youtu.be/BKKjeGsFxoA

◇ 数学ⅠA(4回目) 6/07(日)    論理にはいろいろある + 集合と命題
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/06/blog-post_7.html )
 (動画 → https://youtu.be/SalfMAtgHPs

◇ 数学ⅠA(5回目) 6/13(土)   結論を言わない証明問題 + 集合と命題
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/06/blog-post_13.html )
 (動画 → https://youtu.be/x4FJNvXcHxM

◇ 数学ⅠA(6回目) 6/21(日)     新型コロナは哲学のタネ + 三角比
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/06/blog-post_21.html )
 (動画 → https://youtu.be/BwAj60uc-ds

◇ 数学ⅠA(7回目) 6/28(日)  AI時代の整数問題の学び方 + 整数問題
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/06/blog-post_28.html )
 (動画 → https://youtu.be/66THpH1OJsk

◇ 数学ⅠA(8回目) 7/05(日) コロナ入試1年目の狙い目は + 集合と命題
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/07/blog-post.html )
 (動画 → https://youtu.be/Vy786IAiz_4

◇ 数学ⅠA(9回目) 7/16(木) 人はなぜ円周率に熱くなるのか? + 三角比
 (→ https://omori55.blogspot.com/2020/07/blog-post_16.html )
 (動画 → https://youtu.be/-9nNC8ms1BI

◇ 準備
 ○ オンライン授業の準備は100均の黒板から
 ○ オンライン授業のための収録スタジオ
  (→ https://omori555.blogspot.com/2020/04/blog-post_30.html

◇ 今後
 ○ オンライン授業の流れを止めるな
 ○ オンライン・シフトは文化祭、留学、入試へと続く

2020年8月3日月曜日

面接に変わって「動画提出」のコロナ入試

◇ 慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)の「自由応募入試(AO入試)」の「募集要項」に次のような記載がある。

 新型コロナウイルス感染症の感染状況により,面接試験の実施が難しい場合には,遠隔面接を行う場合があります。

 面接試験および遠隔面接のいずれもが実施できないと本学が判断した場合,2次選考(面接)は行わず,1次選考の合否を最終合否とします。そのため,今回は1次選考の必須資料として「3分間のプレゼンテーションビデオ」を課します。

◇ 横浜国立大学の2021年度「入学者選抜要項」の「教育学部」にも同じような記載がある。

○ 総合型選抜
       (変更前) → (変更後)
【第1次選抜】小論文試験 → 小論文試験の内容に相当する課題
【第2次選抜】個人面接  → 面接試験の内容に相当する課題として、動画での提出

○ 一般選抜
(変更前)集団面接試験(調査書および自己推薦書の評価を含む)と小論文(教育課題論文)
  ↓
(変更後)面接試験と小論文試験に相当する内容の動画やレポート等の提出物により合格者を決定します。

 なお、横浜国立大学では「個別学力試験(2次試験)を中止する」ことを決めた。2021年度「入学者選抜要項」に記載がある。

 令和3年度(2021年度)の入学者選抜においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に関わる対応として、試験日程や選抜方法を今後さらに変更する可能性があります。

(変更前)大学入学共通テスト+個別学力試験等
  ↓
(変更後)大学入学共通テストの成績により合格者を決定します。
     個別学力検査の成績は、大学入学共通テストの成績で代替します。

 ところで、大学入試共通テストが必ず実施できるという保証はない。だから「今後さらに変更する可能性」が確かにある。

2020年8月2日日曜日

主体性・多様性・協働性の捉え方(早慶の入試要項より)

◇ 慶應大学HPの「学部入学案内」の「2021年度学部一般入学試験(2021年4月入学)について」と題するページに、次のような記載がある。(2019年10月1日更新)

 学部一般入学試験のインターネットによる出願の際に,「主体性」「多様性」「協働性」についてどのように考え,心掛けてきたかについて,100文字以上,500文字以内で入力を求めます。

・入力は受験生本人が行うものとし,出願の要件とします。
・入力した内容は合否判定に用いることはせず,入学後の学習指導上の参考資料としてのみ活用します。
・併願する学部が複数ある場合でも,1回の入力ですべての学部に適用されます。

◇ 早稲田大学HPの「学部入試情報」の「2021年度入試の改革」と題するページに、次のような記載がある。(2019年5月10日更新)

 すでに現行の一般入試問題でも、単なる「知識」だけではなく、「思考力・判断力」および「表現力」を必要とする問題を出題しています。こうした出題についてさらに工夫を加えて、高校までの学習をより適切に評価できるように努めてまいります。
 それに加え、Web 出願時に、高等学校入学に相当する年齢からこれまでに、学校内外にて「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をもって活動・経験してきたと受験生本人が考えていることについて、100 文字以上 500 文字以内で記入してもらいます。

・学校が作成する調査書に記載するのではなく、受験生本人が自分自身の経験を振り返り、文章化してもらいます。記入は出願要件としますが、得点化はしません。
・併願学部が複数あったとしても 1 回記入すれば全ての学部に適用します。
・記入した内容は、学生調査データの一部として、入学後の学部での教育の参考資料として活用します。

 今のところ他の大学ではそんな話は無いようだが、早慶に今後追随する可能性はある。
 これらの発想は、2016年に僕が書いた文章「これからの大学入試を攻略する鍵」と同じようなものだろう。良い傾向だ。

2020年8月1日土曜日

寿命の平均値と中央値と最頻値 2019年

 次の話題は、命です。寿命について見てみましょう。
 平均寿命は厚生労働省が毎年発表します。ところで、平均値があるということは、中央値も最頻値もあるはずです。でも、平均寿命という言葉はよく聞きますが、寿命の中央値、寿命の最頻値という言葉は聞きませんね。探ってみましょう。

【mission 1】 寿命の平均値と中央値と最頻値
 2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳で、男性が81.41歳です。
 さて、寿命の中央値と最頻値は何歳くらいでしょうか? まず結果を予想(平均値より上か下か)し、2019年の年齢別死亡率のデータからエクセルで加工して求めてください。

 ところで、平均寿命とは何の平均値なのでしょうか。まずはそれを知らなければなりません。そしてそれがわかれば、寿命の中央値と最頻値もわかります。いや、データがそろえば、平均値を求めるより、中央値や最頻値を求める方が計算はむしろ簡単です。数値の最も大きいところが最頻値で、人数を足していってちょうど半分のところが中央値ですから。平均値は値を全部足して総人数で割るのですから、中央値や最頻値を求めるのに比べて計算は大変です。
 平均寿命は、その年の各年齢ごとの死亡率から算出します。値が男女で異なりますので、ここでは「女性」の値を元に平均寿命の計算法を説明しましょう。元データは2019年の「簡易生命表」です。厚生労働省のサイト(→ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/index.html )からダウンロードできます。
 まず100,000人が生まれたとします。この数に0歳の死亡率を掛けると178人、これだけの人が0歳で亡くなることになります。残り99,822人が1歳の誕生日を迎えて、その数に1歳での死亡率を掛けて、28人が1歳の間に亡くなって、99,794人が2歳になります。この計算の繰り返しです。
 高齢になるとじわりじわりと死亡率が高くなっていきます。例えば100歳での死亡率は約30%です。なお、表では105歳以上はひとくくりになっていますが、105歳以上での死亡率は(当然のことながら)100%です。
 こうして出来上がった各年齢ごとの死亡者数、それはつまり「ある年に産まれた男女10万人ずつが、2019年の各年齢ごとの死亡率と同じ割合で亡くなると想定したときの、それぞれの人が生きた年数」でもありますが、その平均値が平均寿命です。一応申し上げますと、厚生労働省の資料では「死亡」という言葉を極力使わずに説明したり計算したりしているものですから無駄にややこしいのですが、結局のところ上の計算法と同じ結果になります。
 (図3)は、上の計算に従って「各年齢ごとの死亡者数」をグラフにしたものです。2019年の「寿命曲線」と呼ぶことにしましょう。


 平均値は女87歳・男81歳ですが、若くして亡くなる人が一定数いる一方で、120歳を超えて生きる人はまずいませんから、グラフは左方向(若い方)に長く伸びて、右方向(高齢側)は急激に落ち込みます。先ほど取り上げた所得(図1)や貯蓄(図2)と比べると、左右に反転した形ですね。そしてこうなると、若くして亡くなる人の影響を受けて、平均値はその分低めになります。
 ここまで来れば、寿命の平均値だけでなく、中央値や最頻値を求めるのもすぐそこです。
 「最頻値」は、すでに求めた「各年齢ごとの死亡者数」の中で数が最大になるところ。つまり「女92歳、男88歳」が最頻値です。
 また「中央値」は「累積死亡者数」が5万人(10万人の半分)に達したところで、「女90歳、男84歳」となります。
 なお、このデータをもとに10万人の生きた年数の平均値を計算(期央で亡くなった考えて0.5歳分を調整)すると、女性が87.44歳、男性が81.41歳となりました。男性は厚生労働省発表ものと一致し、女性は0. 01歳の誤差が出ましたが、元の簡易生命表で「105歳以上」 が一括りになっていることなどが影響しているものと思われます。

寿命女性男性
平均値87.4581.41
中央値9084
最頻値9288
以上まとめると、右のようになります。
 平均寿命が平均的とは限りません。現実には「平均寿命よりもっと長生きする方がむしろ普通だ」とも言えるのです。
 このように統計は代表値によって、見え方が大きく変わります。所得や貯蓄などお金の話も同様で、平均値だけでなく、中央値や最頻値にも目を向けると違った面が見えてきます。
 ところで今生きている人にとって重要な指標は平均寿命より平均余命の方でしょう。そしてこれもまた余命の平均値だけでなく、中央値や最頻値を求めてみるとまた違った見方ができるかもしれません。お試しください。