2019年6月30日日曜日

プレゼン「結論を言わない証明問題」

 昨日、数学関係のイベント(→ https://twitter.com/r_mathprime_mt )で「結論を言わない証明問題」というタイトルでプレゼンしました。その際に取り上げた例題に関心を持たれた方が多かったようなので、ここに掲載します。


 詳しくは、以下をご覧ください。
◇ 合同な三角形を探せ 
◇ 合同か? 
◇ 角の2等分線を3本引くと。。。 
◇ 四角形の頂点からの距離の和が最大となる点はどこ? 

 昨日はもう1問発表したのですが、冗長だったとの反省から上の画像では省略しています。
◇ 相似な図形 

 他に、終了後に何人かの方に紹介した類題です。
◇ 同一円周上にある4点を探せ 
 
 言いたかったことは、スライドの最初と最後に書いたこと。
結論さえ言わなければ、それだけで証明問題が楽しくなる! 

2019年6月7日金曜日

角の2等分線を3本引くと。。。

【問1】△ABC において、
    ∠A の内角の2等分線とBCの交点をD ,
    ∠B の内角の2等分線とCAの交点をE ,
    ∠C の内角の2等分線とABの交点をFとする。
    このとき              
  (1) 空欄を埋めよ。 
  (2) (1)を証明せよ。 



 これなら結果を知っている人も多いでしょう。中学・数学の教科書にも証明つきで載っています。三角形の「内心」ですね。
 では、次の問題はどうでしょうか?



【問2】二等辺三角形でない △ABC において、
    ∠A の角の2等分線とBCの交点をD ,
    ∠B の角の2等分線とCAの交点をE ,
    ∠C の角の2等分線とABの交点をFとする。
    このとき               。
  (1) 空欄を埋めよ。 
  (2) (1)を証明せよ。 



 【問1】の「内角」を「外角」に変えただけなのですが、こうなると結果を知らない人がほとんどでしょう。さて、予想は立つでしょうか?
 本来、証明問題とはこうあるべきだと思うんですよね。まず何かに 気が付いて、もしくは予想を立てて、それを確認するために証明する。
 ところで【問2】は図を雑に描くと、なかなか予想も立たないと思います。3点 D , E , F は △ABC からだいぶ離れたところにきますから、そもそも図が描きにくい。それでも 丁寧になるべく正確に図を描いてみれば、なんとか予想は立つでしょう。
 でも、それはあくまでも予想なんですね。本当にそれが言えるかどうか確信は持てないでしょう。では、どうするか。そこで登場するのが証明ですね。

 【問1】の《解説・解答》は こちら を、【問2】の《解説・解答》は こちら をどうぞ。

内角の2等分線を3本引くと 。。。

【問】△ABC において、
    ∠A の内角の2等分線とBCの交点をD ,
    ∠B の内角の2等分線とCAの交点をE ,
    ∠C の内角の2等分線とABの交点をFとする。
    このとき               。
  (1) 空欄を埋めよ。 
  (2) (1)を証明せよ。 



 これは結果を知っている人も多いでしょう。中学・数学の教科書にも証明つきで載っています。三角形の「内心」ですね。
  いろんな証明ができますが、ここでは「角の2等分線公式」と「チェバの定理の逆」を使った証明を載せておきます。


 では、次の問題はどうでしょうか?



【問2】二等辺三角形でない △ABC において、
    ∠A の角の2等分線とBCの交点をD ,
    ∠B の角の2等分線とCAの交点をE ,
    ∠C の角の2等分線とABの交点をFとする。
    このとき               。
  (1) 空欄を埋めよ。 
  (2) (1)を証明せよ。 



 【問1】の「内角」を「外角」に変えただけなのですが、この場合に「必ず成り立つ」ことを探してください。そしてその上で、それを 証明 してください。

2019年6月2日日曜日

☆ 宇宙人に出会える確率

宇宙の壮大なスケールを体感するための記事、3部作です。

  ◇ 皆既日食を体感する 
  ◇ 太陽系のミニチュアモデルを作る 
  ◇ 宇宙人に出会える確率 

宇宙のロマンを味わっていただけるでしょうか。

「国語脳ドリル 作文王」(学研)

(2010年1月)

 ひょんなことから小学生向けの算数と国語の素晴らしいテキストを見つけました。算数の方は、中学受験塾サピックスが出している「きらめき 算数脳」(発行:主婦と生活社)で、国語の方は、国語専門塾が出している「国語脳ドリル 作文王」(発行:学研)です。
 今日は、そのうち「国語脳ドリル 作文王」を紹介します。このテキスト、テレビで紹介されて、多くの書店で売り切れになっているようです。「プライマリー → スタンダード → トップレベル」の3段階ありますが、「トップレベル」だけが手に入りました。
 このテキストでは、まず 段落の最初に中心文(= 主題 = 一番言いたいこと)を置いて、「なぜなら」、「たとえば」でつないで 一段落で書く 練習をします。
なぜなら作文私は宇宙人は(いる/いない)と思う。なぜなら・・・
例えば作文人類はいまたくさんの環境問題を抱えている。たとえば・・・
(併用型)私が尊敬する人物は○○○である。なぜなら・・・ たとえば・・・

 続いて、「中心文 + 展開文 +結語文」の形で 一段落で書く 練習です。7つの を示して、それにあてはめる形で書きます。7つの型を著者は「作り方作文」、「ちかみち作文」、「とおまわり作文」、「いわせて作文」、「ぐるぐる作文」、「比較作文」、「こうである作文」と呼んでいます。
 具体的なテーマを与えて、それらを一通り練習して、その上で複数の段落に分けてまとまった文章を書く練習へと進みます。

 この作文指導法のコンセプトをまとめると、
◇ 作文の を示して、それにあてはめて書く。
◇ 主題 を明確にして、段落の先頭に置く。
◇ 1つの主題で1つの段落を書き、全体を構成する。
となるでしょうか。
 この指導法、小学校のそれとどこが違うかというと・・・いや、まるで違います。というより、小学校では(中学でも高校でもそうですが)文章の書き方の指導なんて実際には無いに等しい。何の指導もせずに、いきなり「自由に、感じたままに、書きなさい」というだけです。

 ここで紹介した「国語脳ドリル 作文王」と前に紹介した「きらめき 算数脳」で扱っている内容は、小学生に必要なものだとボクは思うのですが、実際には小学校ではほとんど扱っていないと思います。ですから、小学校の授業で足りないものを補う意味でも、この2つのテキストは「使えるぞ」と思うのです。

「きらめき 算数脳」(サピックス)

(2010年1月)

 ひょんなことから小学生向けの算数と国語の素晴らしいテキストを見つけました。算数の方は、中学受験塾サピックスが出している「きらめき算数脳」(発行:主婦と生活社)で、国語の方は、国語専門塾が出している「国語脳ドリル作文王」(発行:学研)です。
 今日は、そのうち「きらめき算数脳」を紹介します。「小学1・2年生」用のテキストから2問を取り挙げます。
 テキストでは1つの問題について簡単なものから難しいものへと少しずつ発展させ、小学生に分かるように誘導しながら問題が進んでいくのですが、ここでは途中段階は省略しています。文章も多少書き換えてあります。



<例1>

 青・赤・緑の箱が4個ずつあります。正面から見た図、横から見た図から箱の色を考えて、箱に色を塗りましょう。
※ 実は正面からも横からも見えない箱があるのですが、問題をよく読めばその箱の色が分かります。

<例2>

 赤パックンは縦と横のエサを食べます。青パックンは1まわり外側のエサを食べます(図の黄色の部分)。枠の中に3匹のパックンを置きます(右図)。
 パックンが食べることのできないエサが一番少なくなるのは、パックンをどこに置いたときですか。
 また、パックンが食べることのできないエサが一番多くなるのは、パックンをどこに置いたときですか。
 それぞれのときパックンが食べることのできないエサは何個ですか。
※ 3匹のうち赤と青の数は与えれらていません。ですから、いろんなケースを考えなければなりません。



 「さすが、サピックス」と思いました。遊び感覚で取り組める一方で、筋道を立てて考えないと答えられません。
 ウチにいい実験台(小学1年の娘です)がいたので、やらせてみました。そうしたら喜んでやるんですが、案の定、文章をよく読まないので頭が混乱しているようでした。フィーリングでどんどん書き込んで、その後で「意味わかんない。パパ、問題読んで!」という調子です。そうして書いたり消したりしているので、もうグチャグチャです。でも、楽しそうにやってます。
 ちなみに、娘が答えを急ぐのは小学校の授業の影響とテレビのクイズ番組のせいだと思います。小学校では繰り返して練習することがメインですから、どうしても友達と競争するような感じになるのでしょう。テレビのクイズ番組は「知ってるか知らないか」を問うものばかりで、しかも早さを競うものが多いですから。
 それに対してこのテキストでは、しっかり読んでじっくり考えることが求められます。なるほど、賢くなりそうです。

 ここで紹介した「きらめき算数脳」と次に紹介する「国語脳ドリル作文王」で扱っている内容は、小学生に必要なものだとボクは思うのですが、実際には小学校ではほとんど扱っていないと思います。ですから、小学校の授業で足りないものを補う意味でも、この2つのテキストは「使えるぞ」と思うのです。

2019年6月1日土曜日

合同か?(2)

円に内接する四角形 ABCD がある。
対角線 AC と BD の交点を E とする。

AC=BD のとき、△ABE≡△DCE は成り立つか?


※ 「成り立つ」と言うなら、証明してね。
  「成り立たない」と言うなら、反例を挙げて。



∠ABE=∠DCE(弧ADの円周角)
∠BAE=∠CDE(弧BCの円周角)
∠AEB=∠DEC(対頂角)   から 相似 △ABE∽△DCE(2角相等)はすぐ言える。

けれども、そこからが難しい。
対応する辺(AB と DC、AE と DE、BE と CE)のいずれかが1つでも等しいと言えれば 合同 △ABE≡△DCE(1辺両端角相等)とわかるのだが、さて、どうしようか。

ところで、本当に「△ABE≡△DCE」なのだろうか。反例はあるのだろうか。

何はともあれ、証明を目指してみよう。



    <証明1>
AC=DB より AE=DE , BE=CE
  └──→──┴─→─┘
また ∠AEC=∠DEC(対頂角)
2辺とその間の角が等しいから △ABE≡△DCE

    <証明2>
∠BAC=∠BDC より 四角形ABCDは円に内接する。
AC=DB より ∠ABC=∠DCB(等しい長さの弦に対する円周角?)
  └───→───┘
BC は共通だから 1辺両端角相等により △ABC≡△DCB
よって AB=DC 1辺両端角相等により △ABE≡△DCE

    <証明3>
AC と DB の交点を F とする。 ← そもそも交わるのか
∠FAC=∠FDB(∠BAC=∠BDC の補角)
∠ACF=∠DBF(△ABEと△DCE において他の2角が等しいから)
1辺とその両端の角が等しいから △FDB≡△FAC
よって FB=FC , FD=FA よって AB=DC
1辺とその両端の角が等しいから △ABE≡△DCE



再び相似に戻って「方べきの定理」を使ってみると、
AC=DB=1 としても一般性を失わないから
AE=a , DE=b とおいて CE=1−a , BE=1−b だから
  a(1−a)=b(1−b)(方べきの定理)
   ⇔ a−a2=b−b2
   ⇔ a−b−a2+b2=0
   ⇔ (a−b)−(a+b)(a−b)=0
   ⇔ (a−b)(1−a−b)=0
   ⇔ a=b または a+b=1

(ⅰ)a=b のときは「△ABE≡△DCE」が成り立つ。
けれども
(ⅱ)a+b=1 のとき、
   CE=1−a=b , BE=1−b=a となって、
   この場合は「△ABE≡△DCE」は成り立たない。
   これが「反例」(右図)である。

すなわち「AC=BD のとき、△ABE≡△DCE」は成り立たない



つまり、こういうことだ。
「円に内接し、かつ対角線の長さが等しい四角形」は「等脚台形」になる。
等脚台形を2本の対角線で切ってできる4つの三角形のうち、下左図の2つの三角形は合同である。一方、下右図の2つの三角形は相似な二等辺三角形ではあるが、合同ではない。(これが反例にあたる)