2019年5月9日木曜日

これから流行る学校

 授業料は3ヶ月で100万円、半年で200万円。それ以降月ごとに30万円ずつ払えばいつまでもいられるが、基本は半年コース。
 授業料が高いと思うだろうか。でも、その学校で学ぶことで収入が倍増したり、年棒1000万円超えの職に就いたりする人が多ければ、必ずしもそうは思わないだろう。それどころか、大学で学ぶのと同じかそれ以上のものが得られるのであれば、4年かけて400万円支払って大学に通うより、よほど安い上に効率的でもある。
 その学校に入学試験はない。授業料を払えば、誰でも学べる。中卒の人も高卒の人も大卒の人も、ビジネスマンも高齢者もいる。他の学校で不登校だったり、発達障害と呼ばれた人もいるが、その学校で特に優秀なのはそういう人だったりもする。
 入学後のテストもない。成績もつかない。卒業証明書もない。すなわち公的に保証するものは何もないが、社会からの信頼は厚い。企業からの目線も熱い。
 そこで学んで得られるものはスキル。それだけだ。分野は多岐に渡っている。IT・プログラミング・統計・経営・語学など。社会のニーズに合わせて、人工知能やブロックチェーンを学べる学校・コースもある。その中のどれを学ぶか、いずれかを集中して学ぶか、あるいは広く学ぶか、それは受講生が決める。もともとテストもないし成績もつかないし出欠をとることもないので、途中から加わるも途中で止めるも自由。
 イベントもたくさんある。ワークショップ・コンテスト・講演会など、在籍していればいつ何時どのイベントに参加するも参加しないも自由。
 受講生が主催するイベントもある。娯楽・親交・学びなど趣旨は様々だが、他の学校でいうところのサークル活動みたいなものだと思ってもいい。
 コーチ陣はみんなプロフェッショナルだ。そして彼らの最も重要な仕事はカウンセリング。受講生がどんな技能を身につけたいのか、何を身につけるべきなのか、そのために何を学ぶのが良いのか。受講生の特性を見ながら、一緒に考えるのがコーチの最も大事な仕事だ。

 これから流行るのはそんな学校だ。もうすでに始まっている。アメリカには現存するし、日本でももう少し短い期間で、もう少し安い金額で、つまりもう少し低いレベルで学べる場所がたくさんできている。
 さて、今ある学校はこれからどうなるのだろうか。多くの大学は職業訓練校の色合いを強めるだろう。ちなみに、いま現在、職業訓練校としての色合いが最も強いのは医学部だ。あんなに入るのが難しいのに、医者という職業があんなにブラックなのに、それでも医学部が人気なのは、そこが職業訓練校だからという面が確かにある。
 それと同時に高校は、大学受験のために勉強する場ではなくなる。これから流行る学校に入試はないのだから、そこを目指す人は学校に入るために勉強するよりも、学校に入った後のことを考えて、やがて学ぶことになる分野の周辺情報を仕入れる方に力を注ぐだろう。
 中学生も変わる。先にあげたような学校に進むことを視野に入れながら、自分に何ができるか、何に向いているか、夢中になれるものは何か、そんなことを探るために時間と労力を割くようになる。
 こうして大学も高校も中学も、これから良くなっていくに違いないのである。

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