受講中の「漫才構文講座」は隔週で実施する予定だったが、講師の都合で1回延期になって、結果的に1ヶ月ぶりの講習がまもなくある。前回出されたお題は「昔話」。講師の添削を受けるためには今日が期限なので、なんとか1つ作ってみた。
- いつまで寝てるの?
- (反応なし)
- もしかして、シンデレラ?
- 死んでないわ。生きてるわ。
- (ドアを叩く)開けるよ。
- いま機織ってる最中だから、開けないで!
- アホか!(ドアを開ける)
- ダメぇ、見ないで!
- ほぅら、いつもの「小太り爺さん」ジャン。
なんとか1つ作ってみると、勢いでもう1つ出来た。うつらうつら考えている時点でもともと2種類のネタを考えていたわけだが、1つが形になれば、もう1つも形になりやすいということだろう。
1つ目は短かったが、今度のは長い。そしてこっちの方が僕っぽいと思う。こちらも期限に間に合ったので、講師に送る。タイトルは「むかしむかしマッチング・アプリがあったとさ」。皆さんもご覧あれ。- むかしむかし、あるところに、マッチング・アプリがありました。
- ほぅほぅ、せっかくあるんならどんどん使おっ。
- けどな、男連中はみんな「眠りの森の美女」が良い言うねん。
- そんで、女連中はみんな「白馬に乗った王子様」が良いと言う。
- みんな調子ええな。
- みんな高望みし過ぎちゃうか。
- けどな、男にしてみたら、生まれた子が自分の子かどうか確信もてないから、やっぱり「眠りの森、つまり処女」は絶対条件なんだよ。
- そんで、女にしてみたら、子供をちゃんと育てるのに十分な財産が要る。その証拠が「白馬に乗った王子様」ってわけだ。
- ヨーロッパにはいっぱいいるんだけどね。灰だらけのシンデレラも、森に隠れ住んだ白雪姫も間違いなく男を知らない。けど、日本には一人しかいない。
- 誰や?
- 「かぐや姫」だけや。竹から生まれてあっという間に大人になったから、処女を失うヒマが無かった。他には乙姫や雪女は確実ではないから、ダメだな。
- なるほど。一方、金持ちの男と言えば・・・桃太郎は成金だから先々の保証はないし、浦島太郎とか金太郎はむしろ貧乏や。
- 金持ちの男、いないんか?
- まぁ少しは居る。かぐや姫にプロポーズした男たちや。
- 証拠あるか?
- ありもしない宝物を探しに行くだけのヒマを持て余しているのが、何よりの証拠や。
- うーん、確かにそうだ。
- 日本で「眠りの森の美女」と「白馬に乗った王子様」が結ばれる唯一のチャンスだった。
- なんでうまくいかなかったんだろ?
- 月から迎えにきた御者を追い返そうとするより、乗り込んじゃえば良かったんだよ。そうすればかぐや姫と結婚できて、さらにアームストロング船長よりも先に月に行けたのに。惜しいことをしたもんだ。
- かぐや姫は性格悪いし、男連中はアホだよな。
- 性格悪くてもいいから「眠りの森の美女」を望んだ男と、アホでもいいから「白馬に乗った王子様」を望んだ女の当然の帰結かな。
- 浦島太郎だって竜宮城から帰ってきたんだから、月に行ってもきっと帰って来られるのにね。
- マッチング・アプリは今も昔も難しい。