2021年2月4日木曜日

柴刈りの極意

 「むかしむかし、おじいさんは、山へ柴刈りに・・・
 柴は「木の小枝」で、柴刈りは要するに「薪拾い」です。( 「芝刈り」ではありませんよ。)
 柴(薪)のエネルギーのもとは、太陽です。ですから、柴は「再生可能なエネルギー」といえます。今風に言うと「バイオ・マス」ですね。ところで、おじいさんは、何のために柴を刈ったのでしょうか。
 おじいさんは、それで電気を起こそうとか、車を走らせようと考えていたわけではないでしょうね。柴で発電したり、物を動かしたりすることは、理論上は可能です。けれども、現実的ではありません。柴はエネルギー密度が小さいので、エネルギーの「量」を確保するには、大量の柴が必要になります。また、柴はエネルギーの「質が低い」ので、「質の高い」エネルギーに変換すると「量」がさらに減ります。2重のマイナス効果で、大量の柴から、ほんのちょっとの電気や運動量しか得られないことになります。
 おじいさんが柴を刈った目的は、きっと煮炊き、あるいは暖をとるためでしょう。つまり、熱源です。
 ところで、現代人にとっての熱源は、石油・ガスなどの化石燃料(電気も、元をたどれば化石燃料)です。エネルギーの「質」の観点から見ると、これは非常にもったいない使い方だと言わざるをえません。せっかくの「質の高い」エネルギーを、質をガクンと落として使うわけですから。
 特に、電気を熱源として使うのは、贅沢の極みです。発電中に大量の熱を放出して、ようやく手にしたピュアな電気を、再び熱に変えようというのですから。

 ちょっと考えてみてください。

   ◇ バイオ・マスで化石燃料の代替品を作り、バイオ・マス燃料を熱源として使う
   ◇ バイオ・マス燃料を熱源以外の用途に使い、化石燃料を熱源として使う
   ◇ 植物を直接燃やして、その熱を利用する。(化石燃料は他の用途に使う。)

 そのうち、エネルギー効率が最も良いのはどれですか? 植物を消費する量が最も少ないのはどれですか? 大気中の CO2 を最も減らすのはどれですか? 最も環境にやさしいのはどれですか?
 次の中で、植物資源を最も多く消費する人は誰ですか?

   ◇ 柴刈りのおじいさん
   ◇ 化石燃料を使う現代人
   ◇ バイオ・マス技術を使う未来人

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