2019年3月20日水曜日

三角形の内角の和はなぜ180°なのか?

【問1】三角形の3つの角の和は何度ですか?

【問2】どんな三角形でもそうなることを説明してください。



【問1】は小学生でもわかるでしょう。そう、180°です。円周の半分、もしくは角が一直線になるときの角度、それが180°です。
 では【問2】はどうでしょうか。「三角形の3つの角の和が180°」であることをどうやったら説明できるでしょうか。ところで、その証明は中学1年の数学で習うことです。ですから、覚えている人もいるでしょう。

 ところで、コンピュータは「三角形の3つの角の和は180°」を覚えることは得意です。それを使って計算するのも得意です。でも、「なぜ?」に答えることはできません。それができるのは人間ならではです。
 コンピュータが三角形の内角の和を調べるとしたら、おそらく次のようにやるのでしょう。いろんな三角形をたくさん作って、その都度3つの角の大きさを足してみる。でも、それをやっても【問2】の答えにはなりませんね。まず、無限にある三角形すべてを調べることはできませんから。また、コンピュータ内部では近似値で計算していますから、どんなに細かいところまで計算してもなにがしかの誤差が生じます。つまり、ぴったり180°にはなかなかならないのです。
 その事情は人がたくさんの三角形を実際に書いてみて、分度器で角の大きさを測るのと似ていますね。たくさん書いたところで「すべての三角形」について証明したことにはなりませんし、分度器で測っても「ちょうど180°」とは言えないからです。もちろんコンピュータがやれば人間がやるより「速く、たくさん、精度よく」やれるでしょうけれど、それでは【問2】の答えにならないのは同じです。

 繰り返しますが、【問2】に答えられるのは人間ならではです。そして人間のその力がコンピュータを動かすのです。人間が指示を与えれば、コンピュータは人間より圧倒的に速く正確に処理します。速さと量と正確さにおいて、人間はコンピュータにはとても勝てないでしょう。けれども、そのコンピュータを動かすのは人間。人間のその力が「プログラミング思考力」なのです。
 【問2】に戻りましょう。この問いに答えるには、ちょっとしたアイデアが必要です。すっきりと自分が納得できて、みんなを納得させるような説明をするためには、一本の補助線を引くのが効果的です。そしてこの技、コンピュータには絶対できません。



 では、《解説・解答》です。

右図を見れば一目瞭然ではないでしょうか。
まずAを通りBCに平行な直線(補助線)を引きます。
そうすると右図の赤の角度は等しくなります。
同じように青の角度も等しくなります。
もともと三角形の3つの角の和は「赤+青+黄」ですから、
Aを取り囲む部分を見れば「赤+青+黄=一直線=180°」
であることがわかります。
この話、どんな三角形でも成り立ちますね。補助線が絶大な効果を発揮していますね。

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