朝7時半に家を出ないと学校(または仕事、あるいはデート)に遅れる。
右上の時計だと、「あと 1 分 23 秒あるな(まだ大丈夫?)」と思う。
右下の時計だと、「やばい、もうちょっとしかない(急がなきゃ!)」と思う。
朝、デジタル腕時計を見ながら出かけるタイミングを図っている人は、まず引き算して、次の瞬間に(まだ大丈夫)と思いながら、頭の中で(いや、実はそうでもない)と考え直して、さらに(そろそろ急いだ方がいいぞ)と自分を急き立てる。しばらくしてもう一度腕時計を見て、(引き算 → 大丈夫 → いゃ違う → さぁ急げ)を繰り返す。
いちいちこれだけのことを頭の中に巡らせているのである。朝から、大騒ぎである。
それに比べればアナログ時計の方がずっと健康的だ。時計の針の角度を見れば、それですんなり事が進む。(まだ大丈夫)あるいは(そろそろ急がなきゃ)もしくは(やばい!)と思えば、いずれの場合もそれでぴったり。自分の感覚に素直に従えばいいのである。
朝、テレビ画面の隅に表示された時刻を見ながら出かけるタイミングを図っている人は、デジタル腕時計を見る人よりさらに複雑な心の過程を経る。まず引き算する。次に不安になる。「7:28」という表示を見ても、それが7時28分ちょうどに近い方の「7:28」なのか、7時29分に近い方の「7:28」なのかが分からない。そして、直感的には(まだ大丈夫)と思いながら、念のため(やっぱり急ごう)と思い直して、再び(いや、もうちょっとのんびりしててもいいのかも)と考える。こうして心が引き裂かれる。
アナログの時計なら、針の角度を見れば瞬時に正確に判断できる。見たまんま、感じたまんまに行動して間違いない。心と頭に余計な負荷もかからない。時計はアナログに限る。
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