2019年3月28日木曜日

パスカルの三角形の裏事情


 パスカルの三角形を書けば (a+b)n の展開式の各項の係数を簡単に求めることができる。たとえば、
      (a+b)5 = a5 + 5a4b + 10a3b2 + 10a2b3 + 5ab4 + b5  という具合である。
  パスカルの三角形の書き方は、
      各段両端は 1 。
      上段の2数の和を、2数の真ん中下段に書く。
      これを繰り返す。
これだけである。上から n 段目の数が (a+b)n の展開式の各項の係数というわけである。
  さて、今日は「なぜそれでうまくいくのか」を考えよう。

1.パスカルの三角形の中の数は、元をただせば「(a+b)n の展開式の an-r br の係数 nCr 」である。
   ∵) (a+b)n=(a+b)(a+b)…(a+b)
     n 個の(a+b)から a か b のどちらかを取る。
     n 個のうち b をちょうど r 個取る場合の数は nCr 通り。
     これがそのまま an-r br の係数 になる。
   すなわち、上右の C の図が元々のパスカルの三角形である。

2.上右図の左端は一般化すると nC0 だが、nC0=1 である。
   ※ 「n 個の中から 0 個取る」 場合の数は 「何も取らない」 という1通り。
  また、上右図の右端は一般化すると nCn だが、nCn=1 である。
   ※ 「n 個の中から n 個取る」 場合の数は 「全部取る」 という1通り。
  → 以上から 「パスカルの三角形の両端の数は 1 」 であることが確認できた。

3.パスカルの三角形は左右対称である。そのことを式で表すと nCrnCn-r となる。
   ※ 「40人のクラスで運動会の棒倒しに出場する38人を選ぶ」には「出場しない2人を選ん」でも同じこと。
     すなわち 40C3840C2 。一般に nCrnCn-r が成り立つ。

4.パスカルの三角形で 「上段の2数の和を、2数の真ん中下段に書く」 とした部分は、
   一般的には nCrn-1Cr-1n-1Cr という式で書ける。
   ※ 「40人のクラスで10人の掃除当番を選ぶ」 場面を想定してみよう。
   僕自身は選ばれたくないが、選ばれてしまうかもしれない。
   僕自身が選ばれない(ラッキーな)場合は、僕以外の39人の中から10人選べば良いので 39C10 通り。
   僕自身が選ばれる(アンラッキーな)場合は、僕以外の39人の中から9人選べば良いので 39C9 通り。
   その両方を合わせたものが総数 40C10 だ。
   すなわち 40C1039C939C10 。一般に nCrn-1Cr-1n-1Cr が成り立つ。

 以上から、先ほど書いた単純な操作の繰り返しで (a+b)n の展開式の各項の係数を書き出せることが示せた。めでたし、めでたし。

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