2019年3月20日水曜日

「鳩の巣原理」で考えてみよう

【問】1辺の長さが2の正三角形の周上または内部にいくつかの点を置く。
   ただし、どの2点間の距離も 1より大きく なるようにする。最大で点をいくつ置けるか?



 ところで、答えを「n 個」と言うためには、

  • n 個でうまくいく例を示す
  • n+1 個では不可能なことを示す

必要があります。
 なお、上の文にあるように、2点間の距離を「1より大きく」してくださいね。「ちょうど1はダメ」ですよ。

 ここで「鳩の巣原理」という考えを紹介しましょう。これは別名「部屋割り論法」とも言われます。

  • n 個の巣に n+1 羽の鳩が入る場合、どれかの巣には2羽以上の鳩が入る
  • n 個の部屋に n+1 人の人が入る場合、どれかの部屋には2人以上の人が入る

という原理です。いかにも当たり前のことを言っているわけですが、上の【問】に答えるには、その考え方が効果的に使えます。と言うより、それを使わずに答えるのは困難です。



 では、考えてみましょう。まず、4点は置けます。たとえば(図1)のように、正三角形の頂点に3つ、4つ目を正三角形の重心の位置に置けば、条件を満たします。このとき2点間の距離は 2 か 2/√3 ですから「どの2点間の距離も1より大きい」ですね。
 けれども、5点を置こうとすると、なかなか置けないでしょう。点をどう動かしても、どれか2点の距離が1以下になってしまうでしょう。というわけで、答えは「4点」となりそうです。

では、どうすれば「5点は置けない」ことをきちんと示せるでしょうか。はい、ここで登場するのが「鳩の巣原理」です。元の「1辺の長さが2の正三角形」を(図2)のように「1辺の長さが1の4つの正三角形」に分けて考えましょう。5つの点を置くと、必ずどこかの小三角形の周上または内部に2点置くことになります。その2点の距離は必ず 1 以下になりますから、「5点は置けない」と分かるのです。

 この考え方が「鳩の巣原理」です。4つに分けた小さい三角形が「巣」にあたります。5つの点が「鳩」です。2点間の距離を1より大きくするには、点(鳩)を別々の小三角形(別々の巣)の中に入れなければならないのですが、5点(5羽の鳩)を別々の4つの小三角形(4つの巣)の中に入れるのは無理ですね。
 当たり前すぎて、わざわざ名前をつけるほどのことでもないように思える「鳩の巣原理」。でも、この問題で「5点は置けない」ことを示すのに、他にやり方が見つからないのです。地味だけど、すごい威力とでも言いましょうか。

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