2019年3月27日水曜日

カーリングのストーンはなぜ滑るのか?

 カーリングのストーンはなぜ滑るのだろう?
 固体どうしが接触する場合、基本的には滑らない。たとえば、平らな土の上にある石は滑らない。ところが、カーリングのストーンは固体である氷の上を滑る。なぜなのか?
 答は、固体の氷が溶けて、液体の水になるからだ。では、なぜ氷が溶けるのだろう?
 ストーンが動くことによって発生する摩擦熱? もしそうだとすると、カーリングの会場はすぐに水浸しになるだろう。なにしろ1試合で10エンド、1エンドあたり各チーム10回ずつストーンを投げるのだから、1試合で合計200回もストーンを投げるのだ。その度に氷が溶けたら、試合が終わる頃にはカーリング会場は水浸しになって、氷がすっかり無くなってしまいそうだ。

 なぜそうならないのか? その訳は、溶けて水になった氷がまたすぐに凍るからだ。でも、冷えて凍るわけじゃない。
 ではそろそろ、そのカラクリを説明しよう。氷はストーンの圧力が加わることによって溶けるのである(右図の赤線)。そしてストーンが通り過ぎると圧力が下がって再び凍る(右図の緑線)。つまり氷はストーンが通り過ぎるその瞬間だけ溶けて、すぐに元に戻る。こうしてストーンが氷の上を滑りながら移動するわけだ。温度変化(グラフの左右への移動)ではなくて、圧力の変化(グラフの上下移動)によって「固体→液体→固体」と変わるというわけである。
 スキーもスケートも、また雪道で滑って転ぶのも同じ理由による。

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