(慶応大 商学部 論文テスト 2015)
◇ 以下の文章を読んで、次の問1~問2に答えなさい。
いま、以下のような4つの命題 p , q , r , s がある。
p:すべての天体の軌道は円である。これら4つの命題に関して、「天体」という言葉は「惑星」よりも(1)の度合が高く、「円」という言葉は「楕円」よりも(2)の度合が高い。いずれも度合も高いほど、命題は経験的にテストされやすく、それゆえ反証される可能性も高い。つまり、命題の反証可能性は高くなる。
q:すべての惑星の軌道は円である。
r:すべての天体の軌道は楕円である。
s:すべての惑星の軌道は楕円である。
これら4つの命題 p , q , r , s のあいだの演繹可能性関係は、上のダイヤグラムの矢によって示される。p から他のすべての命題が結果する。q からは s が帰結し、s はまた r からも帰結する。したがって、s は他のすべてから帰結する。
p から q に移ると、(3)の度合が減少する。惑星の軌道は天体の軌道の真部分集合であるから、(4)は p よりも(5)の度合が少ないわけである。したがって、p は q よりもいっそう容易に反証されうる。もし q が反証されれば、p は(6)されるが、しかしその逆は真ではない。
(7)から r に移ると、(8)の度合が減少する。円は楕円の真部分集合だからである。そして、もし r が(9)されれば、p は反証されるが、その逆は成り立たない。
同じことが他の移行についてもいえる。(10)から s に移れば(11)と正確性の両者が減少し、q から s へと移ると(12)が減少し、r から s へと移ると(13)が減少する。
したがって、以上のことから p が最も反証可能性が高く、s は反証可能性が最も低いといえる。
問1.文中の(1)~(13)にあてはまる最も適当なものを下の選択肢から選びなさい。
なお、同じ選択肢を2回以上使用してもよい。
p q r s 演繹 検証 合理性 実証 正確性 妥当性 反証 普遍性 有意性問2.命題 q と r は、どちらが反証可能性が高いのか、比較することができない。なぜか。
その理由を本文に即して「命題 q は r よりも」に続く文章を35字以内で答えなさい。
命題 q は r よりも
《解答&解説》
問1. (1) 普遍性 (2) 正確性 (3) 普遍性 (4) q (5) 普遍性
(6) 反証 (7) p (8) 正確性 (9) 反証 (10) p
(11) 普遍性 (12) 正確性 (13) 普遍性
※ 「同じ選択肢を2回以上使用してもよい」と言われても、13個のうち
「普遍性」が5回、「正確性」が3回、「p」と「反証」が2回ずつというのは、
解答していてちょっと不安になる。
問2.普遍性は低く、正確性が高いから、どちらが反証可能性が高いともいえない。(35字)
※ 字数や書き出しを無視して書くと、
「正確性の面からみると、命題 q は r よりも正確性の度合が高いので、q の方が r よりも反証可能性が高い。
普遍性の面からみると、命題 r は q よりも普遍性の度合が高いので、r の方が q よりも反証可能性が高い。
だから一概に q と r のどちらの方が反証可能性が高いとは言えない。」
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