なにがおもしろいって、ほとんどの漢字に「ふりがなみたいなもの」が振ってある。「みたいなもの」というのは、「読み方」を振っているのではなくて、「意味をわかりやすく」振っているのである。
上左のポスターから見出しを除く全文をここに書き写してみよう。
調査事項(しらべることがら)漢字が読めない人への配慮だったのだろうと思うけれど、漢語(=熟語=音読みの言葉)をなるべく使わずに、和語(=やまとことば=訓読みの言葉)を使っている点がとても新鮮に感じる。現代の感覚からいうと、むしろお洒落なんじゃないかと思う。
一 氏名(なまえ)
二 世帯に於ける地位(しょたいの あるじとの つづきがら)
三 男女の別(をとこか をんなか)
四 出生(うまれた)の年月日(としつきひ)
五 配偶の関係(つれあひが あるかないか)
六 職業(しょくげふ)及(と)職業上の地位(その みぶん つとめがら)
七 出生地(うまれたところ)
八 民籍別 又は 国籍別 (みんせきべつ または こくせきべつ)
此(こ)の 調査(しらべ)は 租税の賦課(ぜいきん)にも 犯罪(つみびと)の 捜索(しらべ)にも又(また)は戸籍寄留(こせききりゅう)にも関係(かんけい)は絶対(ぜったい)にありませんから安心(あんしん)して有(あり)のまヽを申告(しんこく)して下(くだ)さい
もう1つ、右上のポスターから抜粋すると、
社会 の 実況 → よのなか の ありさまもっといきましょう。
現在 の 状況 → そのとき の ありさま
正確に → まちがはぬやうに
提出する → わたす
左上のポスターでは、
申告書用紙 → かく かみところで、そのポスターには、
申告書 → かいた かみ
まった か ひと か あげという優しい文面がある。かと思いきや、右上のポスターには、
全 く 書 けない 人 は 書 いて 上 ます
こ しら も こくみん はぢという厳しい文面もある。
此 の 調 べに 漏 れては 国民 の 恥 です
ところで、この記事では上の4つを「ポスター」と呼んだけれども、当時はそんな言葉はおそらく無かっただろうと思うのだが、さて、当時は上のようなものを何て呼んでいたんだろう?
「広告」かなぁと思ったりしたが、でも漢字が読めない人のために何て「ふりがなみたいなもの」を振るんだろうとまたまた気になって、そうすると「はりがみ」かなぁと思ったり。
一般の見学者がほとんどいないような小さな施設ですが、意外と楽しめました。
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