2019年3月19日火曜日

第1回国勢調査のポスターがおもしろい

 総務省統計局の 統計資料館 でおもしろいものを見つけた。大正9年(1920年)に実施された「第1回国勢調査」のポスターである。
 なにがおもしろいって、ほとんどの漢字に「ふりがなみたいなもの」が振ってある。「みたいなもの」というのは、「読み方」を振っているのではなくて、「意味をわかりやすく」振っているのである。


 上左のポスターから見出しを除く全文をここに書き写してみよう。
調査事項しらべることがら
一 氏名(なまえ)
二 世帯に於ける地位(しょたいの あるじとの つづきがら)
三 男女の別をとこか をんなか
四 出生(うまれた)の年月日(としつきひ)
五 配偶の関係つれあひが あるかないか
六 職業(しょくげふ)及(と)職業上の地位(その みぶん つとめがら)
七 出生地うまれたところ
八 民籍別 又は 国籍別 (みんせきべつ または こくせきべつ)

此(こ)の 調査しらべ)は 租税の賦課ぜいきん)にも 犯罪つみびと)の 捜索しらべ)にも又(また)は戸籍寄留(こせききりゅう)にも関係(かんけい)は絶対(ぜったい)にありませんから安心(あんしん)して有(あり)のまヽを申告(しんこく)して下(くだ)さい
漢字が読めない人への配慮だったのだろうと思うけれど、漢語(=熟語=音読みの言葉)をなるべく使わずに、和語(=やまとことば=訓読みの言葉)を使っている点がとても新鮮に感じる。現代の感覚からいうと、むしろお洒落なんじゃないかと思う。

 もう1つ、右上のポスターから抜粋すると、
社会 の 実況 → よのなか の ありさま
現在 の 状況 → そのとき の ありさま
  正確に   → まちがはぬやうに
 提出する   → わたす
もっといきましょう。


 左上のポスターでは、
申告書用紙 → かく かみ
 申告書  → かいた かみ
ところで、そのポスターには、
まった か   ひと か  あげ
 全 く 書 けない 人 は 書 いて 上 ます
という優しい文面がある。かと思いきや、右上のポスターには、
こ しら  も   こくみん はぢ
此 の 調 べに 漏 れては 国民 の 恥 です
という厳しい文面もある。

 ところで、この記事では上の4つを「ポスター」と呼んだけれども、当時はそんな言葉はおそらく無かっただろうと思うのだが、さて、当時は上のようなものを何て呼んでいたんだろう?
 「広告」かなぁと思ったりしたが、でも漢字が読めない人のために何て「ふりがなみたいなもの」を振るんだろうとまたまた気になって、そうすると「はりがみ」かなぁと思ったり。

 一般の見学者がほとんどいないような小さな施設ですが、意外と楽しめました。

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