国際宇宙ステーションは地球の上空400kmを秒速約7.7kmで飛び、約90分で地球を一回りしています。これより遅ければ地球に落ちてしまいます。これより速ければ宇宙に飛び出してしまいます。高度400kmを飛びながら、落ちもせず飛び出しもしないちょうどいいスピードが秒速約7.7kmというわけです。
ところで、地球の直径は12800kmです。そこで、国際宇宙ステーションの軌道を、なるべく正確な縮尺で描いてみました。〈図1〉が地球と軌道を丸ごと描いたもの、〈図2〉がそれらの一部を描いたものです。こうして描いてみて、意外と地表すれすれを回っているんだなぁと思った次第です。
他の人工衛星はどうでしょうか。典型的な人工衛星に静止衛星があります。公転周期(地球の周りを1周回る時間)が地球の自転周期とちょうど同じ24時間になる人工衛星で、地球から見ると静止しているように見えます(正確にいうと、赤道の真上の軌道を回る静止衛星は地球から見て静止しているように見えますが、それ以外の軌道を回る静止衛星は南北方向に少しぶれているように見えます)。その使用目的は、放送衛星・通信衛星・気象衛星などです。
静止衛星の高度は約36000km。国際宇宙ステーションの高度が400kmでしたから、その90倍です。地球の半径6400kmと比較すると、その5.6倍です。では、再び描いてみましょう。
〈図3〉がそれです。地球の大きさを〈図1〉の4分の1にしました。国際宇宙ステーションよりはるかに高いところを飛んでいることがわかるでしょう。この縮尺では国際宇宙ステーションの軌道は地球表面とほぼ重なってしまいます。
宇宙エレベータの無重力ステーションはこの軌道上に作られます。これより低いところには地球の重力が働きますから、下に引っ張られます。無重力ステーションより高いところには遠心力が働いて外に引っ張られますから、そこに宇宙船発射台を設置すれば、切り離すだけで宇宙船は宇宙に飛び出します。〈図4〉に示しましたが、この縮尺では宇宙エレベータ本体ならびにステーションの大きさはほとんどゼロになってしまいますので、点で位置だけを表しています。
さて、他に地球を回っているものといえば、月ですね。月の半径は1737km、地球の半径の約4分の1です。地球から月までの距離は384400km、静止衛星の高度の10倍強です。では続いて地球と月と月の軌道をなるべく正しい縮尺で描いてみましょう。
〈図5〉の真ん中の円が地球です。そのすぐ外側の点線が静止衛星の軌道です。そして、大きな円が月の軌道です。軌道上に月を描きましたが、軌道の点線に埋もれてしました。見えるでしょうか。
もうちょっと大き目に描いたのが〈図6〉です。月ははっきりわかるでしょうけれども、軌道ぜんぶは入りきらなくなりました。
アポロはこんなに遠いところまで行ったんですね。かぐや姫はこんなに遠いところからやってきたんですね。
ここまで「地球の周りを回るもの」を3種類、国際宇宙ステーションと静止衛星と月の大きさ・位置関係をなるべく正しい縮尺で描いてきました。こうして描いてみると、国際宇宙ステーションが地表すれすれを飛んでいること、月がべらぼうに遠いことが実感できますね。
それはそうと、かぐや姫は結婚する気がさらさらないのに取引をするような素振りをして、ありもしないものを持ってこいと無茶を言う。それでもあきらめきれない男どもは月から来た使者を追い返そうとしましたが、かぐや姫は「はい、さよなら」と月へ帰りました。
ところで、かぐや姫と結婚する方法が1つだけあったんです。みなさん、お気づきでしょうか。というのは、かぐや姫といっしょに御車に乗り込んでしまえばよかったのです。そうすればかぐや姫と結婚できて、さらに加えてアポロ11号のアームストロング船長よりも先に月面着陸できたはずなんです。例の男たち、惜しいことをしましたね。
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