◇ 感染率 1% ◇ 検査の精度 99% |
「検査の精度が99%なら、実際に感染している確率はかなり高いだろう」と思うのではないでしょうか。でも、実は意外と低いのです。この問題、高校・数学でいうと「条件付き確率」の問題ですが、なかなか分かりにくい問題だと思います。
計算してみましょう。便宜上、検査を受ける人数を10,000人とします。このうち感染しているのは1%の100人…①で、感染していないのは9,900人…②です。検査で誤った判定が出る確率は1%ですから、①のうち1%(=1人)には陰性反応が出て、②のうち1%(=99人)には陽性反応が出ます。
検査
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計
| |||
陽性
|
陰性
| |||
感
染 |
あり
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99
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1
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100
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なし
|
99
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9,801
|
9,900
| |
計
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198
|
9,802
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10,000
|
表から、この検査で陽性反応が出るのは全部で198人で、そのうち実際に感染しているのは99人、実は感染していない人も99人だということが分かります。ということは、「陽性反応が出た人が実際に感染している確率」は 50% です。意外と小さいと思いませんか。
そのことを面積図で説明しましょう。次図中の「有・無」は感染の有り・無しです。「正・誤」は検査結果が「正しいか誤りか」です。色付きの部分が「陽性」が出る部分で、確率を計算するときの分母になります。このうち「実際に感染」しているのは図左上の横長の部分で、確率を計算するときの分子になります。上の例では2カ所の面積が同じなので、確率は 1/2 になるというわけです。
正 誤 | ||||||
↑ | 有 無 | |||||
← |
では、ここで現実の新型コロナ・ウィルス感染症とPCR検査に引き寄せて考えてみましょう。
上では計算しやすいように「感染率1%、検査の精度99%」と仮定して計算しましたが、新型コロナ・ウィルスの感染率は1%よりはもっとずっと低いでしょうし、PCR検査の精度も99%よりもっと低いでしょう。感染率が低いと、右図の横長の部分がもっと薄くなります。検査の精度がもう少し低いと、右図の縦長の部分がもっと厚くなります。つまり、先ほどの確率計算において、分母が大きく、分子が小さくなるわけです。
例えば、感染率が0.1%、検査の精度が90%なら、分母がざっくり10倍に、分子がざっくり10分の1になるわけですから、先ほどの確率50%がいきなり100分の1ほど、つまり0.5%程度になってしまうわけです。
というわけで、この手の検査を闇雲にやると「陽性が出た人のうちで実際に感染しているのは1%未満」みたいなことになりかねないわけです。
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