2020年12月3日木曜日

ピケティの偉業

著書「21世紀の資本」でピケティがやったことは
  • 膨大なデータを集めて、
  • ものすごく大雑把に計算して、
  • 当たり前の結論を導いた
ことである。この3ステップのいずれも偉業と呼ぶにふさわしいが、中でも特に素晴らしいのは、2つ目の
  • ものすごく大雑把に計算した
点にある。たとえば、
  • 「経済成長」は「所得」を増やし、「貯蓄」は「資本」を増やすから、
     等式「資本/所得 = 貯蓄率/経済成長率」が成り立つ
この手の超アバウトな計算をして、
  • 不等式「資本収益率 > 経済成長率」が成り立つ
ことを示した。これは「『金持ちのお金の増え方』は『庶民のお金の増え方』より大きい」ということで、つまり「格差は拡大する」ということになる。これが氏の結論で、言われなくてもわかっているくらいに当たり前のことではあるが、卓見でもある。

そして、ピケティ氏は政策提言にも踏み込んでいく。いわく、
  • 「累進課税」と「資産課税」を強化せよ
要するに「金持ちからたくさん税金を取れ」ということで、この点が庶民感覚に受けている。 さらに氏は、それが効果を発揮するための条件を挙げている。
  • 「世界各国の協調」が大事だ
つまり「タックス・ヘイブンのような国があったら何にもならない」からである。けれどもその条件が満たされることは「各国が協調して温暖化ガス排出量を減らす」ことよりもはるかに難しい。そう考えると、まるで実現性のない提言だということになる。この点に関しては、偉業でもなんでもない。

繰り返すが、氏の偉業は、
  • ものすごく大雑把に計算した
点にこそある。経済学者とは思えないくらい雑にアバウトにざっくりと計算した点がエライのである。

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