◇ サッカーのPK戦をゲーム理論で解く
キッカーが蹴る方向をキーパーに読まれたらゴール決定率は下がる。 キーパーが飛ぶ方向をキッカーに読まれたらゴール阻止率は下がる。 だから、キッカーは蹴る方向を、キーパーは飛ぶ方向をそれぞれ確率的に決めた方がいい。
さて問題は、キッカーはどういう確率で蹴ればいいか、キーパーはどういう確率で飛べばいいかだ。 それぞれにとって最適な比率が各自の採るべき戦略であり、
両者がその戦略を採ったときのゴール率がゲームの解である。
《キーパーの立場で最善策を考える》 | 《キッカーの立場で最善策を考える》 |
2本の直線はキッカーが左に蹴った場合と右に蹴った場合のゴール率(期待値)のグラフ。 さて、キッカーがどっち蹴ろうがキーパーがどっちに飛ぼうが、ゴール率は必ず図の黄色の範囲に収まる。また、キッカーはゴール率を上げたいのだから、キッカーが合理的であればゴール率はその下限(赤線の部分)になる。 そう考えると、上の2直線の交点がキーパーにとっての最善策ということになる。 | キッカーの立場で考えても同じ。キッカーがどっちにどんな割合で蹴ろうが、キーパーがどっちにどんな割合で飛ぼうが、ゴール率は図の黄色の範囲に収まり、キーパーが合理的ならその下限(赤線部分)になる。 だから、キッカーにとっては上の2直線の交点が最も好ましいことになる。 キッカー・キーパーにとっての最善策、ならびにそのときのゴール率を求めるには、上のグラフから相似比を使えばよい。 |
《拡張版利得表》
だから、右のように利得表の下と右に欄を付け足して数を書き込めばゲームの解が求められる。これが、確率ゲームを解くための安直法である。
以上から、キッカーは左右に 3:5 の比で蹴り分け、キーパーは左右に 3:1 の比で飛び分けるのがそれぞれの最善策であり、双方がその戦略を採った場合のゴール率は 52.5 % である。
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