2019年3月21日木曜日

練習問題 No.2 (同時ゲーム)

◇ 次のゲームの解を求めなさい。(2)ではプレーヤーの利得を見積もって、まず利得表を作りなさい。

(1) S社とT社が次世代DVDの規格をめぐって競争しています。ところがその2つの規格には互換性がないために、消費者は買い控えしています。S社かT社のどちらかが撤退して規格が1つになれば、爆発的に売れます。ところで、どちらの製品にも半導体が必要です。S社は半導体事業に弱く、T社は半導体事業に強い。ですから、S社の規格に統一された場合はT社は半導体を供給することで一定の利益を上げることができますが、T社の規格に統一された場合はS社の利益はゼロになります。
右表は両社が競争を続けた場合と撤退した場合の両社の利益を表したものです。表中の左側の数はS社の利益を、右側の数はT社の利益を表します(単位:億円)。さて、この規格競争はどのような展開になるでしょうか?

(2) 与党が国会に法案を提出しました。野党Aと野党Bの両党が反対すれば、反対多数で法案は否決されます。野党Aと野党Bのどちらか一方が賛成に回れば、賛成多数で法案は可決されます。政界の黒幕X氏はなんとか法案を否決させたいと考えています。そこでX氏は野党Aと野党Bに次のように持ちかけました。「法案が成立してしまった場合、法案に反対してくれた野党に100億円寄付する」と。
野党Aと野党Bにとっては法案が成立しようとしまいとどうでもよいことなのですが、寄付金はほしい。それがあれば次の選挙戦を有利に戦えるからです。反対に、寄付金をライバルの野党に持って行かれるのは困る。次の選挙戦で自分たちが相対的に不利になるからです。さて、野党Aと野党Bは法案採決の際にどのような行動をとるでしょうか?また100憶円の行き先はどうなるでしょうか?



 おわかりかと思いますが、(1)はソニー率いるブルー・レイ連合と東芝率いるHD-DVD連合の争いをネタにしています。この話には前日談(「後日談」とは言っても、「前日談」とは言わないか?)があります。《解答・解説》の記事でそれについて触れています。現実の企業同士が繰り広げているゲームのダイナミズムを感じられるでしょう。


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