たとえば「20年後の人口ピラミッド」。20年後の勤労世代は今現在生まれている人たちですからこれ以上増えようがありませんし、高齢者が減る見込みもありません(計画的に減らすことはできない)。仮にこれから出生率が急上昇しても、これから生まれてくる人たちは20年後にはまだ子供ですから、そうなったら勤労世代の負担はますます増えるばかり。20年後なんてすぐですよ。
それでは実際に20年後の人口ピラミッドを作ってみましょう。将来の人口ピラミッドは、直近の2回の国勢調査(2010年と2015年)のデータから作れます。国勢調査は5年に一度行われます。人口ピラミッドは男女別に通常5歳刻みで表します。これには訳があって、たとえばある時の国勢調査で50〜54歳だった人は次の国勢調査の時には55〜59歳になっていますから、そのグループの人口を比較することで各年齢区分の5年間での生存率(死亡率)がわかるわけです(もちろん出入国の数も影響しますが、その割合は比較的小さい)。もう一つ必要なデータは出生率で、将来の出生数を算出するには、その時点での出産年齢の女性の数も関係します(合計特殊出生率の計算では「15〜49歳の女性」を出産年齢としています)。これは直近の1回の国勢調査の結果から算出できます。
こうして過去2回の国勢調査の結果から出生率と各年齢区分の生存率(死亡率)を求めて、それがこれからも変わらないと想定すれば5年後の人口ピラミッドが作れます。この操作を繰り返すことで10年後、15年後、20年後の人口ピラミッドも作れるわけです。
◇ 2010年時点で50〜54歳のグループの5年間の生存率は「E15/C14」ですから、セルG15の関数式は「=E15/C14*E14」です。セル範囲E5:F24に関数式をコピーしてください。続いて、人口ピラミッドのグラフを作ってみましょう。下のグラフが先ほどの手順で作った「20年後(2035年)の人口ピラミッド」です。政府発表のものとほぼ同じです。
◇ 2010〜2015の5年間の出生率を「E4/SUM(F7:F13)」とすると、セルG4の関数式は「=E4/SUM(F7:F13)*SUM(H7:H13)」となります。セルH4も同様です。
◇ セルG25は合計ですから「=SUM(G4:G24)」、これを右方向に1つコピーしてください。
◇ 続いてG列とH列をまとめてI列以降にコピーすれば、10年後、15年後、20年後の年齢区分別人口の表が作れます。
エクセルで人口ピラミッドのグラフを作るにはいろんな方法がありますが、最も簡単な方法を紹介しましょう。
◇ まず男性の数だけ、あらかじめ -1 をかけて負の数にしておきます。みなさんも将来の日本の人口ピラミッドを見たことがあるでしょうけれど、自分で計算して作ってみると、やっぱり気づくことはいろいろあります。それは「将来の予想」と言うより、ほぼ「確実な未来」なのです。
◇ 次に「挿入」リボンの「グラフ」の中の「おすすめグラフ」をクリックします。その中の「積み上げ横棒」を選べば、ほぼ完成です。
◇ そのままでも良いのですが、年齢区分の表示がグラフの中央にきてしまって読みにくい。それを解消するために上のグラフでは年齢区分の表示を左端に寄せました。もっと簡単に、年齢区分の表示を消してしまうという手もあります。
最後に、今回の話題に関連する便利なサイトと興味深い施設を紹介しましょう。まず便利なサイトは「Population Pyramids of the World」(→ http://populationpyramid.net/ )です。国と年をクリックして選べば、その時点での人口ピラミッドを描いてくれます。
興味深い施設とは、総務省統計局の建物内部にある「統計資料館」です。東京都新宿区にあります。この資料館の見所は、大正時代に行われた第1回国勢調査のポスターなど。私が行ってレポートにまとめました(→ https://omori55.blogspot.com/2019/03/blog-post_959.html )ので、よろしければご覧ください。
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