2019年3月14日木曜日

第4次産業の時代

 その昔、労働人口のほとんどすべては第1次産業従事者だった。みんなが食糧生産に励まなければ食べていけず、だから他のことに労働力を割り振る余力が無かった。やがて農業生産力が上がって、工業製品を作ることで生計を立てる人が現れた。第2次産業である。さらに余力ができて、サービスを売ることで生計を立てる人が現れた。第3次産業である。
 さて、今では農業の生産力がどんどん上がって、ほんの少数で全人口の食糧を生産できるようになった。そして、労働力の大半を第2次産業・第3次産業に振り分けることができるようになった。おかげで食糧が十分あるのに加えて、製品もふんだんに使えるようになり、サービスも十分に受けられるようになった。こうして生活が豊かになった。
 ところで、生産力が上がるのは、第1次産業に限ったことではない。機械化・デジタル化・システム化が進めば、第2次産業の生産力も第3次産業の生産力もどんどん上がっていく。こうして全人口の需要を賄うのに、これまでより少ない人数で足りるようになるこれは第1次産業が経てきた流れだが、同じ流れが第2次産業にも第3次産業にも現れるのである。


 将来、仮に全労働力の各10%ずつで第1次・第2次・第3次産業が賄えるとすると、70%の労働力が余ることになる。では、この70%の人たちは居なくてもいいのかというと、そうではない。労働力としては要らないけれども、消費者としては要るのである。そうでなければ、需要が減って、ひいては必要とされる労働力がさらに減ってしまうからである。
 では、この余った人たちは何をすればいいのだろう。答えは、遊んで暮らせばいいのである。30%の人たちがみんなが必要とするものをすべて供給してくれるのだから、それでうまく回るはずなのだ。くれぐれも、この70%の人たちは失業者ではないし、負け組でもない。そうではなくて、働く必要の無い人たちなのである。でも、せっせと消費していただかなくてはならない、そういう人たちである。仮に第4次産業と呼んでおこう。
 そう考えると、少子高齢化の進む日本はとてもバランスの良い社会になるのかもしれない。消費人口は放っておいても増えるのだから一定の仕事量は確保されるし、生産人口は自然と減るのだから仕事を手に入れるために競い合うこともない。めでたし、めでたし。



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