2019年3月21日木曜日

首都直下地震が怖い

 東京首都圏は世界で最も危険な場所だろうと思う。環太平洋造山帯にあって、太平洋プレートとフィリピン海プレートと北米プレートの3つがぶつかり合う真上にあって、そして何よりも世界一の人口密集地帯である。
 東京首都圏の密集度は世界に類がない。都心から東は千葉まで、西は八王子まで、南は小田原まで、北は熊谷まで、建物がびっしりと建ち並び、隙間なく人が住んでいる。その範囲で人口は3千万人を数える。
 そんな場所で大地震が起きるとすれば、それは人類史上初めての出来事だ。巨大地震というだけならこれまで世界中で何度も起きているが、これほどの人口密集地帯で起きたことはこれまで一度もないのである。
 地震の一撃で、もしくは津波や火事で死ぬことを怖れているのではない。仮に死者30万人となっても、それは首都圏人口3000万人の1%に過ぎないわけで、確率的に言えば、おそらく自分は99%の側にいるだろう。99%の側というのは、生き残った被災者2970万人の一人になるということだ。それが怖いのだ。
 救援が来るとは思えないのだ。自分の元に食料が届くと思えないのだ。そしてその場合、首都圏から脱出しようにも、あまりに多い被災者のうちの一人となった場合に、脱出できるとも思えない。つまり、身体や住処が無傷でも、生きのびられるとは限らないのである。
 杞憂と思うだろうか。私はそうは思わない。首都直下地震は必ず起きる。それは明日かもしれないし、10年後かも100年後かもしれない。いつかは分からないが、遅かれ早かれ必ず起きて、その時に人類史上最悪の事態になるだろうと思うのである。それに備えることは、個人としても集団の中の一人としても必要なことだろう。
 それが起きた時に脱出できないとすれば、その前に脱出するしかない訳だが、さて、いつ脱出したらいいかというと、最適なタイミングというものは無い。合理的に考えるなら、できるだけ早い方が良いとなるし、むしろ今すぐ逃げるべきだとなる。いつ起きるか分からないということは、そういうことだ。すなわち、いつか起きる首都直下地震に対する備えとしては、あらかじめ首都圏を離れること以外には無いだろうと思うのである。
 熊本地震も北海道地震も起きた場所は人口が少なかった。しかも食料生産地だった。三陸の津波も高台に逃げてしばらく待てば、救援が来た。海岸線から一山越えれば、そこも食料生産地だった。ところが首都圏はそうじゃない。首都圏の食料自給率は1%以下、毎日トラックで外から食料を持ち込むことで成り立っている。
 南海トラフで巨大地震が起きても、首都直下地震よりは被害が小さいだろう。太平洋の周りはどこで巨大地震が起きてもおかしくないのだが、東京首都圏だけは別格だと思うのである。アメリカ西海岸にも南米の太平洋岸にもフィリピンにもインドネシアにも、東京首都圏ほどの人口密集地帯はない。
 大正時代の関東大震災にしても、太平洋戦争時の東京大空襲にしても、当時の人口は今よりずっと少なかった。首都圏に人口が集まったのは、戦後だ。だから、今が危ないのである。
 さて、いつ逃げようか。

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