この問題では、両者がそれぞれの選択をした場合の利得の大小関係を解答者自らが判断してはじめに利得表を作らなければならない。そのための条件は問題文に書いてあるので、しっかり読むことが大事だ。次に自分で作った利得表からゲームの解を求める。そのような2段階の手順を踏むことになる。
(1) 解は1つに決まる。両者が軍縮する場合に合計利得は最も多くなるのだが、それは解ではない。それでは全く安定しない。相手が軍縮するなら、自国は軍拡で行く方が得するのだから、裏切りは必至である。また、相手が軍拡を選ぶ場合は、自国が軍縮したら大損してしまう。
相手の選択に関わらず自国は軍拡を選んだ方が有利なのだ。 だから軍拡競争は止まらない。
(2) 両者ともマンモスを狙った場合の利得が一番多くなるのだが、相手がマンモスを狙ってくれる保証はない。片方がウサギを追いかけてしまった場合は、もう一人もウサギを追いかけざるをえなくなる。 そうしなければ自分の取り分はゼロになってしまうから。だから、解は2つある。
2人がともにウサギを無視できるか否かによって異なる結果になるということだ。
(3) これも解は2つある。片方が経済優先で突き進んだ場合、もう片方は環境優先で行くしかなくなる。そうじゃないと、人類滅亡という最悪の結果になる。でも、相手が環境優先でいくなら、自国は経済優先でいく方がお得だ。
2つの解のどちらかに落ち着いた場合、双方にとって選択を変えると利得が減少する。だから、そこから動かなくなる。
以上から、問題の答えは次のようになる。
答え | a | b | c | d | 解 |
(1) | 3 | 4 | 1 | 2 | エ |
(2) | 4 | 3 | 1 | 2 | ア , エ |
(3) | 1 | 2 | 4 | 3 | イ , ウ |
いずれもゲーム理論の有名問題で、元ネタは
- (1) 囚人のジレンマ
- (2) シカ狩りゲーム
- (3) チキン (弱虫) ゲーム
大学入試センター試験の「政治・経済」で過去4回出題されたゲーム理論の問題のうちの2回は「囚人のジレンマ」 です。
0 件のコメント:
コメントを投稿