2019年3月22日金曜日

主張の妥当性を検証する

 「論理式」の授業3回目、後半。ファイナルです。



【問題】次の文章の前提と結論を論理式で表し、真理表を作って、導出の正誤を判断しなさい。

(1) アインシュタインの理論が正しければ、光は重力によって曲げられる。
  皆既日食時に、太陽の重力によって星の光が曲がることが観測された。
  ほぅれみろ、アインシュタインの理論は正しいんだ。

前提結論
 P  Q      
11
10
01
00
条件 P , Q を
P:             Q:             とすると、
前提と結論は P , Q を用いて、
前提1:        
前提2:        
結論  :         と表わされる。
右表より、上の議論は( 正しい / 誤り )

(2) あなたは私のことが好きじゃないのね。
  だって好きだったら私に優しくしてるはずなのに、ちっとも優しくしてくれないんだもん。

(3) 前提と導出の両方が正しければ、結論が正しくなる。
  だから、前提も導出も間違っていたら、間違った結論しか出てこないんだよ。

(4) 踏み切りのタイミングが合って、向かい風が吹けば、K点を越えられる。
  実際に飛んでみたら、踏み切りのタイミングは合ってたのに、K点を越えられなかった。
  ってことは、向かい風が吹いてなかったってことなんだな。(残念 ・・・)

(5) 理屈っぽい人は他人に好かれない。 他人に好かれる人は孤独ではない。
  よって、理屈っぽい人は孤独である。(・・・ ろんり的な人はロンリー?)



《解答例 と 解説》
(1)前提結論
 P  Q   Q P
11111
10001
01110
00100

(1) P:アインシュタインの理論が正しい
   Q:光は重力によって曲げられる  とすると、
   前提1:P ⇒ Q
   前提2:
   結論 :           と書ける。
   右の真理表より、   この導出は 誤り である。

※ 要するに、逆 を使ってしまったということです。


(2)前提結論
 P  Q  ¬Q¬P
11100
10010
01101
00111
(2) P:あなたは私のことが好き
   Q:あなたは私に優しくしてくれる とすると、
   前提1:P ⇒ Q
   前提2:
   結論 :           と書ける。
   右の真理表より、     この導出は 正しい

※ 余談ですが、その主張に対して「君は正しい」と(論理的に)発言するより、優しくしてあげるとか、「甘えるな」とか、そんな(非論理的な)対応をする方がいいかも 。


(3)前提結論
PQRP∧QP∧Q⇒R¬P¬Q¬P∧¬Q¬R¬P∧¬Q⇒¬R
1111100001
1101000011
1010101001
1000101011
0110110001
0100110011
0010111100
0000111111
(3) P:前提が正しい
   Q:導出が正しい
   R:結論が正しい
   とすると、
   前提:P∧Q ⇒ R
   結論:¬P∧¬Q ⇒ ¬R
   と書ける。
   右の真理表より、
   この導出は 誤り である。

※ 実際、前提と導出の両方が間違っていても、結論が正しくなる場合がある。たとえば「3 は偶数である。よって、1+1=2 である」など。


(4)前提1前提2結論
 P  Q  R P∧QP∧Q⇒R¬RP∧¬R¬Q
11111000
11010110
10101001
10001111
01101000
01001100
00101001
00001101
(4) P:踏み切りのタイミングが合う
   Q:向かい風が吹く
   R:K点を越える   とすると、

   前提1:P∧Q ⇒ R
   前提2:P∧¬R
   結論 :¬Q     と書ける。

   右の真理表より、この導出は 正しい

※ ところでこの問題では、条件Pを無視して、前提を「Q ⇒ R ,¬R」とし、結論を「¬Q」としてもよい。そうするとこの問題は後件否定文となり、正しいことがわかる。


(5)前提結論
 P  Q  R ¬Q¬RP⇒¬QQ⇒¬RP⇒R
11100001
11001010
10110111
10011110
01100101
01001111
00110111
00011111
(5) P:(ある人が)理屈っぽい
   Q:(ある人が)他人に好かれる
   R:(ある人が)孤独である
   とすると、
   前提1:P ⇒ ¬Q
   前提2:Q ⇒ ¬R
   結論 :P ⇒ R   と書ける。
   右の真理表より、
   この導出は 誤り である。

※ 「前提がすべて真なのに、結論が偽となるところ」、この場合は上から4行目だが、これが反例にあたる。すなわち「理屈っぽくて、他人に好かれないけれども、孤独でない人がいる」ということ。


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