2019年3月14日木曜日

ドミノ倒しの原理

 上の記事「三角関係がコミュニケーションの基本形」の続きです。

◇ ドミノ倒しの原理
 ドミノ倒しというからには、パイは少なくとも3つ必要だ。パイ1つを倒しても、ドミノ倒しとは言わないだろう。1つのパイがバタンと倒れた、それだけの話である。
 パイ2つでも、やっぱりドミノ倒しとは言えない。実際、2つのパイを倒すのは簡単だ。パイの大きさ・位置が雑であっても大抵倒れる。
 ところが、パイが3つになると途端に難しくなる。パイの大きさをそろえ、等間隔に並べることが必要になる。そして、ここが大事なポイントだが、パイ3つでうまくいけば、パイの数を増やしてもうまくいく。
 鍵は真ん中のパイである。真ん中のパイは、前のパイに押されて自らが倒れながら次のパイを倒す。ドミノ倒しをリレーするのは、このパイである。ところがパイ2つでは、これにあたるパイが無い。

 ところで、この仕組みを数学の証明に使うこともできる。その証明法を「数学的帰納法」と呼ぶ人もいるが、「ドミノ論法」と呼ぶ方がふさわしい。それがどんな証明法かと言うと、「ドミノ倒しの原理」そのまんまである。ドミノ倒しが成功するためには、次の2つの条件が必要である。
  ○ あるドミノが倒れると、その次のドミノも倒れる。
    (n=kで成り立つと仮定すると、n=k+1でも成り立つ)
  ○ 最初のドミノは自分で倒す。(n=1で成り立つ)
 どちらか一方だけではドミノ倒しは成功しないが、この両方が成り立てばすべてのドミノがきれいに倒れる。他の条件は要らない。つまり、この2つの条件が、ドミノ倒しが成功する(すべての自然数で成り立つ)ための必要にしてかつ十分な条件なのである。

話は突然変わって、掛け算の話。繰り上がりを見てみよう。2桁の掛け算の場合、1の位の数は繰り上がりを送るだけで、十の位の数は繰り上がりを受け取るだけ。確かに繰り上がりは発生しているが、これでは一般化できないのである。
 では、3桁の掛け算ではどうかというと、十の位を見てみよう。十の位の数は、一の位から繰り上がりを受け取りながら、百の位に繰り上がりを送る。このように、3桁の掛け算の場合は、十の位が繰り上がりをリレーする。ドミノ倒しと同じ原理である。
 このリレーは、4桁の掛け算でも5桁の掛け算でも発生する。ところが、2桁の掛け算ではこのリレーが発生しない。だから、2桁の掛け算ができても、3桁の掛け算ができるとは限らないのである。でも、3桁の掛け算ができれば、4桁の掛け算も5桁の掛け算もできるようになる。手順は3桁の掛け算の場合と同じだからである。

・・・さらに下につづく。。。


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