2019年4月15日月曜日

損得気分曲線


 たとえば株を買ったとして、「実際の損得」と「気分的な損得感」は実は全然ズレているのである。右グラフにおいて、横軸が「実際の損得」で、縦軸が「気分的な損得感」で、原点が「買値」である。

 気分に全く影響されず氷のように冷静に判断するのであれば、「実際の損得」と「気分的な損得感」は一致するはずである。その場合、グラフは右図の 緑色の点線 のようになる。これがいわば 理論曲線(直線)である。
 しかし、お金がかかっていれば、人は無感情ではいられない。平均的かつ良心的な一般投資家の 損得気分曲線 は右図の 茶色の実線 のようになる。その特徴は、
  • 原点付近で傾きが急になる。
    つまり、買値からの少々の値動きに過度に反応する。
  • しかも、プラス側よりマイナス側の傾きの方が大きい。
    つまり、特に損することに対して極端に敏感である。
  • そこから さらにマイナス側では、傾きが緩やかになる。
    つまり、損がかさむと急にどうでもよくなってしまう。
  • プラス側では、気分曲線は常に理論曲線の上にある。
    つまり、得した場合は実際の得以上に得した気分になる。
要するに普通の人は、小さな損に対してだけ極端に悲観的で、それ以外は基本的に楽観的なのである。こんなんで儲かるわけがない。補足すると、
  • 原点付近で頻繁に売り買いするのが デイトレ である。この領域では実際の損得以上に気分が盛り上がるから、まさにゲーム感覚なのだろう。
  • グラフの左下でほぼ平らになった状態のことを、業界用語で 塩漬け という。「そのうちなんとかなるさ」という超楽観的な気分が支配する領域である。
  • グラフの右上では、儲け話 を大げさに語る人が現れる。雑誌などが取り上げることも多い領域なので、これに巻き込まれる人が後を絶たない。
だから、まともな感性の持ち主は株投機なんかをやっちゃいかんのだ。

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