(2012年冬)
高校の教科「倫理」の内容は多岐にわたる。ざっくり分けてみると、
- 哲学系(西洋・日本・中国・インド)
- 宗教系(キリスト教・イスラム教・仏教・神道)
- 思索系(人間・自我・人格・青年期の悩みなど)
- 倫理系(生命・環境・異文化・いじめなど)
生徒の側からみると、
- (社会科の他の科目のように)暗記だけでは、対処できない
- 試験で、何が (どんな社会問題が)出てくるかわからない
- つかみどころがない(どの説もハッタリみたいで、互いに矛盾しているようで、正しいとも思えない)
ところで、高校で倫理の授業を置きにくい本当の理由は、それではない。本当の理由は、文科省の規定と大学の受験科目にある。
まず、文科省の学習指導要領によると、社会科(表向きは地歴科と公民科に分かれているが、まとめて社会科という認識の方が現実的)の科目のうち
- 世界史必修
- 日本史または地理のどちらかを必修
- 現代社会または倫理&政治経済のどちらかを必修
次に、センター試験を見てみると、多くの大学の受験科目は
- 文系では、世界史・日本史・地理または倫理&政治経済から2科目選択
- 理系では、 〃 から1科目選択
そのくせ、国公立大の2次試験、私立大の文系の受験科目は、
- 東大 → 世界史・日本史・地理から2科目選択(倫理も政治経済も選択肢が無い)
- 一橋大→ 世界史・日本史・地理・「倫理&政治経済」から1科目選択(政治経済と抱き合わせ)
- 早大 → 世界史・日本史・地理・政治経済から1科目選択(倫理の選択肢が無い)
- 慶大 → 世界史・日本史から1科目選択 ( 〃 )
すなわち、まとめて言うと、
- 倫理をやろうとすると、授業でも受験でも政治経済がもれなくついてくる
(└→ 理系にとってやりにくい) - 倫理と政治経済を両方やっても、受験できる大学の選択肢が限られる
(└→ 文系にとってやりにくい)
- 現代社会を形だけやる(←これは受験科目の対象外)
- 世界史・日本史・地理のうち2つをがっちりやる(←このうちの1つか2つで受験する)
でも、ウチの学校では倫理をやりたいとボクは思うのである。そのわけは 次の記事 で。
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