2019年4月7日日曜日

なま卵のように滑れ

雪が(少)ないのにスキー場、
ぽかぽか暖かいのにスキー。
東京の学校なのにスキー部、
クリスマスなのにスキー部合宿、
滑らない のにスキー部顧問。
スキー部合宿の朝食バイキングで卵が出た。「なま卵? それとも、ゆで卵?」、みんながそんなことを言っている中で、僕が【問題】を出した。
なま卵とゆで卵を斜面で転がすと、どちらが速く転がるか?
近くに座っていた高校生4人が答えた。
「ゆで卵の方が速い」が3票、「同じ」が1票。
「じゃぁ実験してみよう」かと思ったが、卵を割ってみたら全部なま卵だった。したがって、その場での実験はあきらめた。では、ヒントをあげよう。
エネルギー保存則を考えれば、結果は自明だよね。
まだわからないらしい。なにはともあれ、部員たちの答えを採点することにした。
ぶぶーっ
残念。。。全員ハズレです。というのは、
 スタート地点での位置エネルギーは、卵が移動する運動エネルギーと卵が回転するエネルギーに変換する。個体に近いゆで卵は全体が回転するのに対して、液体に近いなま卵は中身はあまり回転せずに殻だけが回転する。
 だからこの場合、ゆで卵は回転エネルギーに多くのエネルギーを使うのに対して、なま卵では回転エネルギーに消費するエネルギーは少ない。その結果、ゆで卵が転がるスピードは落ちて、なま卵の方が速く転がることになる。ふふっ。
解説はまだ続く。スキーで速く滑る秘訣もここにある。
 スキーで回転するとき、ゆで卵のように体全体で回ろうとすると、大きな摩擦をかけなければならないからその分スピードが落ちる。それに対して、なま卵のように回れば、摩擦も小さいからスピードが落ちない。
 もちろん足と板だけはポールを回るために回転さなければならない。この足と板がなま卵の殻にあたる。でも体はなま卵の中身のように、まっすぐ下に落ちればいいのだ。
部員がぼそっと言った。「滑れないいくせに...」、「滑らない人に言われたくない...」。
 まぁその通りなのだが、理論屋は実験などしないのである。実験するのは技術屋だ。下町でロケットを打ち上げようとする人たちが実験を繰り返したように、部員たちはうまく滑れるように練習を積まなければならない。それに対して、ガリレオもニュートンもアインシュタインもほとんど実験をした形跡がない のと同じように、理屈屋の僕は滑らなくても滑れなくてもいいのである。がははっ。
最初の【問題】に戻ろう。ぜひ家に帰ってから実験してみてくれ。もしくはネットで探してくれ。ネット上には動画もたくさんあるから。
 それはそうと、高校生であれば、特に理系であればもう少し正答率が高くてもよかったように思うが、・・・理科の教員だって先の【問題】に間違えるんだから、まぁそんなに悲観的に考えなくてもよい。そんなことより、合宿ではうまく滑れるようになることを考えよう。
なま卵のように滑れ。
以上、スキー部合宿中の朝食での会話。

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