2019年4月7日日曜日

原子から宇宙までを1つの数直線に表してみよう

 原子核から宇宙の果てまでいろいろなものの大きさを、1つの数直線上に表すのは普通のやり方では無理です。でも、やりようはあります。大きさを 10x (単位はm)で表して、その x を数直線上にとっていけばいいんです。

 まずはズーム・アウト。大きいものを見ていきましょう。
  • 人の大きさはざっくり 1 m=100 m。つまり x=0。
    (人の大きさを 1.7 mとすると、でも 101 mよりはずっと小さいので、およそ 0 として問題なかろう)
  • 地球の大きさは直径 12,800 km≒107 m → x=7
  • 海王星の軌道半径は 45億kmだから、
    太陽系の大きさは 9×1012 m ≒ 1013 m → x=13
  • 天の川銀河の直径は
    約10万光年=10万光年×(9.46073×1015) m/光年 ≒ 1021 m → x=21
  • 宇宙の大きさは138億年間に光が進む距離を考えて 
    276億光年×1016 m/光年 ≒ 1026 m → x=26
    (係数2.76を反映させる形でもう少し細かく計算すると x=26.44 となる)
  • 宇宙が膨張していることを考慮すると、宇宙の果てはもっと先になる。

 続いてズーム・イン。小さいものを見ていきましょう。
  • 細胞やウィルスの大きさは 約10 µm=10−5 m → x=−5    (µ:マイクロ)
  • 原子の大きさは電子雲を含めて 0.1 nm=10−10 m → x=−10   (n:ナノ)
  • 水素の原子核つまり陽子の大きさは 1 fm=10−15 m → x=−15 (f:フェムト)
  • 原子核を構成する素粒子にも大きさはあるのだろうけれど、分かってもいないし測りようもない。
では、上の x の値を数直線上にとってみましょう。


(ここで目盛1つ分右にずれると、大きさが10倍になることを意味する)

 ほら、見事に原子から宇宙まで1つの数直線に表せましたね。
 ところで、上のやり方では整数値しか表せませんが、もうちょっと精度を上げようとすれば、小数で表したくなりますね。はい、それが対数です。対数は、現実社会でもいろんなところで使われています。たとえば酸性・中性・アルカリ性の度合いを表すpH、あるいは地震の規模を表すマグニチュードなど。計算法は本質的に上と同じです。
 こんなやり方で微小な物から巨大な物まで一気に表すことができるわけですが、ここでちょっと元に戻って、実際の比率を見てみましょう。原子の大きさが 0.1 nm、原子核の大きさが 1 fmということは、原子核の大きさは原子の大きさの 10万分の1 です(体積比だと1000兆分の1)。原子の大きさを直径 100 mのドーム球場とすると、原子核の大きさは直径 1mm。ほとんど砂粒くらいの大きさです。そしてそれ故にニュートリノを検出するのが難しいんですね(カミオカンデのみなさま、お疲れ様です)。
 時には指数で表したり、時には対数で変換したり、時には実際の比率で見てみたり。見方によって景色はずいぶん変わります。



 ところで「無限」を上の数直線で表すと、やっぱり x=∞ になります。数直線のずーっとずーっと右の方。また「0 に限りなく近い値」を上の数直線で表すと、x=−∞ になります。数直線のずーっとずーっと左の方。空恐ろしくなってきました。


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