そうしたら、ある生徒がこう言った。
ここで泣かないのが理系だ。と。「理系だったら、複雑な計算・面倒な計算にくじけてはいけない」というわけだ。理系の心意気である。別の生徒が続いた。
泣くな、理系。なんだか僕が怒られているような、励まされているような、そんな雰囲気になってきた。そうこうするうちに合唱が起きた。
泣くな、理系。彼らの覚悟であると同時に、お互いに「がんばろうな」という意思表示でもあるのだろう。要するに計算のあまりの面倒くささに、みんな泣きそうになっていたのかもしれない。そう、僕だけじゃなかったのだ。
なんだか妙な空気になってきたが、今日からクラスの合言葉になるのかもしれない。そもそも僕が黒板に「泣」と書いたのは、多少おちゃらけてのことだ。いつのもノリだ。生徒たちがそれに調子を合わせてくれたという面もあるのだろう。それにしても、頼もしい限りである。
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