2019年4月15日月曜日

泣くな、理系

 高校3年生理系の数学の授業で僕が大学入試の過去問の解説をしていて、黒板に計算式を書いている途中に「」と書いた。すごく複雑で面倒な計算だったから。実際僕は「この計算やりたくない」と思ったし、「この問題に正解した受験生はいなかったんじゃないか」、「こんな計算できなくても構わないだろ!」とも思ったから。
 そうしたら、ある生徒がこう言った。
ここで泣かないのが理系だ。
と。「理系だったら、複雑な計算・面倒な計算にくじけてはいけない」というわけだ。理系の心意気である。別の生徒が続いた。
泣くな、理系。
なんだか僕が怒られているような、励まされているような、そんな雰囲気になってきた。そうこうするうちに合唱が起きた。
泣くな、理系。
彼らの覚悟であると同時に、お互いに「がんばろうな」という意思表示でもあるのだろう。要するに計算のあまりの面倒くささに、みんな泣きそうになっていたのかもしれない。そう、僕だけじゃなかったのだ。
 なんだか妙な空気になってきたが、今日からクラスの合言葉になるのかもしれない。そもそも僕が黒板に「」と書いたのは、多少おちゃらけてのことだ。いつのもノリだ。生徒たちがそれに調子を合わせてくれたという面もあるのだろう。それにしても、頼もしい限りである。

0 件のコメント:

コメントを投稿