2019年4月9日火曜日

マリモ型の思考

 人がある事を考えるとき、はっきりと答えを出さずに、あえてそのままにすることがある。いや、実際には答えを出すことの方が少なくて、ずっと多くのものを未解決のまま抱えているのだろう。
 そして、そのまま何日も何か月も何年も胸の中にしまっておく。頭で忘れて、心で記憶するのだ。その間に、いろんな経験をし他のことも考えて、知らないうちにその記憶が少しずつ成長する。あたかも湖の底で人知れず静かに成長するマリモのように。
 何日か何か月か何年かするうちに、知らぬ間に問題が解決して答えを得ていることもあるだろう。何日か何か月か何年か後に、大きく成長したマリモを取り出して、再び考え始めることもあるだろう。

 人は、自分が抱えている問題意識の数だけ賢くなれる。問題が大きければ大きいほど、自分にとって切実であればあるほど、時間がかかり、得るものは大きい。
 あせる必要はない。いま答えが出ないものは、どうせ出ないんだから。
 だからといって、捨て去るのはもったいない。それは自分の可能性なんだから。人はまだまだ成長するのだから、いま白黒はっきりさせなくても、それをしっかり心で記憶すればいい。
 疑問や悩みもまた、しばらく考え悩んだあとは、そっと心の記憶に沈めればいい。そうして、育ってくれるのを待っていよう。マリモのように。
 今は答えが出なくても、心の中でしっかり育てば、いつか必ず答えを出せる。

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