では、誤差とは何か? 中学の数学の教科書には「誤差=測定値-真の値」と書いてある。(※ 正確に言うと、「測定値は近似値」であり「誤差=近似値-真の値」とあるが、要は上と同じこと)
えっ? 待てよ。真の値って何だ? そんなもの本当にあるのか? それはどうやればわかるんだ?
だってさ、真の値がわからないから測るんでしょ。測定値に近い所に真の値があるんだろうけど、真の値はどう転んだってわからないんじゃないのか。だから、測定値を真の値とみなすしかないんじゃないか。
改めて、誤差って何だろう? 「測定値には誤差がある」というならわかる。
けれども「測定値と真の値の差のことを誤差という」という言い方をしたら堂々巡りになってしまう。ましてや「誤差=測定値-真の値」とするとプラスかマイナスがつくことになってますますおかしい。
ここでちょっと問題にトライしてもらおう。
【問題】次の場合の誤差を(中学数学の定義にそって)求めよ。
- 真の値が 1.23456789 のものを測定して 1.23 という値を得たとき。
- √2 の値を 1.4 としたとき。
- 円周率を 3 で計算したときの直径 1 の円の周の長さ。
【答え】
- 0.00456789 は間違い。マイナスをつけて -0.00456789 と書くのが正解。
- √2 = 1.41421356・・・ より 誤差を 0.01421356・・・ と答えたら間違い。
この誤差には誤差がある。誤差を正確に言うとしたら √2 -1.4 と答えるしかない。 - 直径 1 の円の周の長さは π もしくは 3 だが、この誤差を 0.14159265・・・ と答えたら ×。正解は π-3 だ。
でも、√2 の大きさを知らなくて 1.4 で計算した人に「それじゃ √2 - 1.4 の誤差がある」と言って何になる? 円周率を 3 で計算する人に向かって「それじゃ π- 3 もの誤差がある」と言って一体何が伝わるんだ?
誤差の前では測定値は意味を失う。けれど測定しなければ真の値は見当もつかないし、誤差なんてわかるはずもない。あぁまた堂々巡りしてしまった。
というか、誤差を正確に求めるなんて無意味だよね。そんなの論理矛盾している。もちろん工業製品であれば誤差を限りなく小さくするのは大事なことなのだろう。
でもそう考えるとますますわからなくなる。 で結局、誤差ってなに???
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