2019年4月17日水曜日

起業するなら誰と組むか、どう分けるか?(慶応大の入試問題より)

(慶應大学・環境情報学部入試2017「数学」より)

 A氏、B氏、C氏が起業したいと思っているが、1人では不可能で、最低でも2人が組む必要があるとする。3人が組めば72億円の利益が見込め、A氏とB氏が組めば50億円、A氏とC氏が組めば32億円、B氏とC氏が組めば20億円の利益が見込めるとする。いま、3人が組んで企業した結果72億円の利益が得られたとき、その分配について考える。以下では、A氏、B氏、C氏のそれぞれの分配金を x , y , z で表す。

(1) 3人で組んだ場合に、2人で組んだ場合以上の利益の分配を、それぞれが要求すると、
x , y , z ≧0  ……①
x+y+z=72 ……②
x+y≧50   ……③
x+z≧32   ……④
y+z≧20   ……⑤  (単位:億円)
となる。ここで、②は3人の分配額の合計が得られた利益の72億円になることを表し、③はA氏とB氏の分配金の合計は2人が組んだ場合に見込める利益の50億円以上になることを両氏が要求することを表し、④はA氏とC氏の分配金の合計は2人が組んだ場合に見込める利益の32億円以上になることを両氏が要求することを表し、⑤はB氏とC氏の分配金の合計は2人が組んだ場合に見込める利益の20億円以上になることを両氏が要求することを表している。
 これらの条件を満たす各人の分配額の中で、A氏の分配額が最小となる分配額の組み合わせは、x=□□ , y=□□ , z=□□ である。(単位:億円)

(2) 次に、(1)の条件のうち③~⑤を仮定せず、①と②のみを仮定すると、
x , y , z≧0  ……①
x+y+z=72 ……②  (単位:億円)
となる。ここで、50-(x+y) をA , B両氏の不満、32-(x+z) をA , C両氏の不満、20-(y+z) をB , C両氏の不満、-x をA氏の不満、-y をB氏の不満、-z をC氏の不満と定義し、これらを小さくする分配を考える。このように不満を定義した理由は、A氏とB氏が組めば50億円の利益を見込めたのであるから、分配額との差 50-(x+y) が大きいほどAB両氏のいわゆる不満は大きいと考えたからである。AC両氏の不満、BC両氏の不満についても同様である。また、A氏の不満を -x としたのは、A氏の分配が大きいほどいわゆる不満は小さくなると考えたからである。B氏の不満、C氏の不満についても同様である。なお、不満は負の値になることもあることに注意すること。
 いま、これらの不満の最大値をMとすると、明らかにAB両氏の不満、AC両氏の不満、BC両氏の不満、A氏の不満、B氏の不満、C氏の不満はいずれもM以下となる。この時、Mを最小化する z の値は□□であり、x の範囲は □□≦x≦□□ となる。(単位:億円)



《答え》
(1) x=10 , y=40 , z=22
(2) z=11 , 32≦x≦41

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