2019年5月13日月曜日

ゲーム理論の例題集 (1)

 ネット上で ゲーム理論の例題集 を見つけた。こんなネタをこのブログ上に収集したいんだが、ただコピペするだけでは著作権法上問題があるやも知れぬ。
 では、どうすればいいか? そうだ! 引用すればいいんだ。さて、引用と認められるためにはどうすればいいか? そうだ! 答えを書けばいいんだ。
 答えがあっているかどうかは分からないので、みなさん、チェックしてね。



【問題1】
 あなたは、従業員を100人抱えた企業の経営者である。各従業員の勤務状況に応じた利得(満足度を金額に換算)は、一生懸命働いた場合30万円、怠けた場合60万円、 解雇された場合0円である。あなたは、従業員を真面目に働かせたい。そのために、一生懸命働かないと解雇するという脅かしをちらつかせる。しかし、会社を運営してゆくには、解雇できるのは最大でも1人だけである。以上のような状況で、全員を真面目に働かせるには、経営者はどうしたらよいかをゲーム理論の観点から説明せよ。

【問題2】
 現在、3つの携帯電話会社が顧客の獲得を競っているとしよう。顧客は利用料金の安い方と 契約するものとする。各社とも、様々な料金プランを設定している。このような、価格戦略をとる意味を、ゲーム理論の観点から説明せよ。

【問題3】
 2台の自動車がそれぞれ、直行する方向から交差点に近づいて来ており、直進しようとしている。このとき、交差点で各車が信号にしたがって行動する。ドライバーのこのような行動選択を、 交通法規や社会規範の観点ではなく、ゲーム理論の観点から説明せよ。

【問題4】
 一社しか利益を出せないような地域のマーケットにA, B 2社が参入しようとしている。2社とも我が社は断固としてこの小さな市場に参入すると宣言している。このとき、A社がB社に対して、スパイを送り込み、B社は本当に参入するつもりかを探らせた。このとき、B社はこのスパイに対して、 どう対処すべきであろうか。追い払うべきであろうかを、ゲーム理論の観点から説明せよ。



では、答えです。

【問題1】
 この場合、実際に誰かを解雇するべきではない。なぜなら「解雇できるのは最大でも1人だけ」だから、誰かが解雇されたら、他には誰も解雇されないことになって、従業員は怠けるからである(従業員にとっては怠ける方が。利得が大きい)。これでは逆効果になる。
 ではどうすればいいかというと、従業員に通し番号を付けて(年齢順とか五十音順とか)、「怠けている従業員のうち、最も番号の小さい者を解雇する」と言えばよい。そうすると従業員1は真面目に働く(解雇されるよりは利得が大きいから)。 「従業員1は真面目に働くという選択をする」ことが分かれば、従業員2も真面目に働く(怠ければ自分が解雇されるから)。・・・こうして、全員が真面目に働くようになる。

【問題2】
 どれが安いかを比較できないようにしている。どの機能をどれだけ使うかは未定だから、どの会社が安いのか、どのプランが安いのかは実際にわからない。だから「利用料金の安い方と契約する」ことは現実にはできない。こうして、携帯電話会社は値下げ競争を回避できて、結果的に利用者は高い金額を払わされる。
※ 各社がたとえば「通話時間に比例する」ような料金体系だけを掲げたら、「どこが安いか」を比較できる。
 その場合、料金が安い方に客が流れていって、携帯電話会社同士の値下げ競争が始まるだろう。

【問題3】
 自分にとっての損得は、得な方から「(ア) そのまま直進してぶつからない > (イ) いったん止まって相手が通り過ぎるのを待つ > (ウ) 衝突する」の順である。 自分の前が赤信号で相手の前の信号が青信号のとき、相手が直進してくると考えられるので、(イ) と (ウ) を比べて、自分は (イ) を選ぶ。自分の前が青信号で相手の前の信号が赤信号のとき、相手が止まると考えられるので、(ア) と (イ) を比べて、自分は (ア) を選ぶ。相手も損得を考えれば同じように行動する。つまり、お互いに「信号を守る」というのがゲームの解(ナッシュ均衡)になる

【問題4】
 仮に参入のためのコストを 6、その地域での総売上げを 10 とする。1社だけが参入した場合の利益は 4 となるが、2社が参入した場合は各社のコストは 6 のままで、売上げは総売り上げの半分の 5 となって2社の利益は −1 となる。 また、参入しなければ、コストも売上げも利益も 0 である。 そのように想定してみよう。
 さて、A社にとっては「B社が参入するなら、A社は参入しない方が得(0>−1)。B社が参入しないなら、A社は参入した方が得(6>0)」である。だから、B社はA社のスパイに 対して、参入する姿勢を見せる 方が良い。そうすれば、A社は参入する場合の利益 −1 と参入しない場合の利益 0 を比べて、「参入しない」という選択をするはずだからである。そしてその場合、B社は利益 4 を得る。

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