2019年5月4日土曜日

慶応SFC2018より「確率分布」の問題

 高校の「数学B」に「確率分布」が入っていますが、大学入試でその分野を出題するのは慶應大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)くらいです。2018年度入試で出題されました。



慶應大学総合政策学部2018(数学)より

 以下の3種類のコインを使って、景気の動向が企業の将来の利益に与える影響を考える。
  • コインA:表の出る確率が 1/2、裏の出る確率が 1/2 のコイン
  • コインB:表の出る確率が 5/8、裏の出る確率が 3/8 のコイン
  • コインC:表の出る確率が 1/4、裏の出る確率が 3/4 のコイン
コインAは、表が出れば景気が良い状態をあらわし、裏が出れば景気が悪い状態をあらわす。コインBとコインCはそれぞれ、景気が良い状態及び悪い状態のときの企業の利益に対応し、表が出れば企業の1年間の利益が1億円出ることをあらわし、裏が出れば利益が出ないことをあらわす。 

(1) 来年の景気は良くなるが再来年の景気は悪くなるというシナリオ1を考える。来年の利益を X1 億円、再来年の利益を X2 億円とするとき、X1 と X2 の動きは、コインBを1回投げ、続いてコインCを1回投げることによってあらわすことができる。来年と再来年の利益の和 S1=X1+X2 の期待値 m1□□/□□ となる。

(2) S1 が期待値 m1 から離れる度合いである S1 の分散は、Z1 =(S1-m1)2 の期待値によってあらわすことができる。Z1 の期待値は □□/□□ である。

(3) 来年と再来年の2年間の景気は、良くなり続けるか悪くなり続けるかのどちらかであるが、そのどちらかは分からないというシナリオ2を考える。2年間の利益の動きは、まずコインAを投げ来年と再来年の景気がどうなるかを決め、その結果が表ならばコインBを2回、裏ならばコインCを2回投げることによってあらわすことができる。このシナリオにおける来年の利益を Y1 億円、再来年の利益を Y2 億円とするとき、このシナリオ2における来年と再来年の利益の和 S2=Y1+Y2 の期待値 m2 は、シナリオ1の期待値 m1 と等しい。S2 の分散は、Z2 =(S2-m2)2 の期待値であり、その値は □□/□□ である。



 期待値やら分散やらが分かっていないと、というより期待値やら分散やらを使った経験が少ないと、この問題の意味がつかめないんじゃないかな。

《答》は、
(1) 《解1》
  E(S1)=E(X1+X2)=5/8×1/4×2+(5/8×3/4+3/8×1/4)×1+3/8×3/4×0=7/8
   《解2》
  E(X1)=5/8×1+3/8×0=5/8  E(X2)=1/4×1+3/4×0=1/4
   より E(S1)=E(X1+X2)=E(X1)+E(X2)=7/8     ※ 07/08 とマークする。

(2) E(Z1)=V(S1)
   《解1》
  E(Z1)=(2-7/8)2×5/32+(1-7/8)2×18/32+(0-7/8)2×9/32=27/64
   《解2》
  V(X1)=(1-5/8)2×5/8+(0-5/8)2×3/8=15/64
  V(X2)=(1-1/4)2×1/4+(0-1/4)2×3/4=3/16
  より V(S1)=V(X1+X2)=V(X1)+V(X2)=15/64+3/16=27/64

(3) コインAが表の場合
  e1=(2-7/8)2×25/64+(1-7/8)2×30/64+(0-7/8)2×9/64=39/64
   コインAが裏の場合
  e2=(2-7/8)2×1/16+(1-7/8)2×6/16+(0-7/8)2×9/16=33/64
  より V(S2)=V(Y1+Y2)=e1×1/2+e22×1/2=9/16

0 件のコメント:

コメントを投稿