(慶応大・総合政策2019・数学より)
ある大学である学会の全国大会が日曜日に開催されることになり、受付や教室での資料配布などの仕事を誰かに頼む必要が生じた。仮に学生にアルバイト代を支払って手伝ってもらうとすると、人材派遣会社から人を派遣してもらう場合と比較して、サービスの質はやや劣るが人件費を節約でき、学会大会の手づくり感を演出することで、参加者に大学での好感を持ってもらうことができるメリットがある。
A教授はこの学会の会員であり、今回の学会大会の責任者であるが、自分の研究室に所属する学生(以下、ゼミ生)に手伝ってもらうことを考えた。もし、n 人のゼミ生に手伝ってもらい、1人あたりのアルバイト代の日給が w 千円とすると、全体で wn 千円の支払いが必要となる。そして、上記の人件費の節約や大学の好感度の向上といったメリットは、60√n 千円であるとすると、A教授にとっては、x=60√n-wn の値が大きければ大きいほど好ましいと考えられる。
一方、A教授のゼミ生は全部で30人で、日曜日に全員家庭教師のアルバイトをしていて、1日あたり6千円を各学生は稼いでいる。仮に学会の手伝いをすると、その日の家庭教師のアルバイトはできない。したがって、ゼミ生全体の立場からは、y=wn+6×(30-n) が大きければ大きいほど好ましいと考えられる。
(1) x+y を最大化する学生手伝いの数は n=□□ である。
(2) A教授はゼミ生の代表のB君と相談することにした。ここで、x+y の最大は □□□ であることに注意しよう。また、A教授とB君の相談がまとまらなければ n=0 となることに注意すると、x≧0 , y≧180 でなければならない。
(3) そこで、A教授とB君は、これらの x , y の範囲を満たしつつ、x×(y-180) を最大化する x=□□□ , y=□□□ で合意した。このとき、A教授は □□ 人の手伝ってもらうゼミ生に対して、1人あたり □□ 千円をアルバイト代として支払うことになった。
《解説・解答》
(1) x+y={60√n-wn}+{wn+6(30-n)}
=-6n+60√n+180
=-6(√n-5)2+330
よって √n=5 ⇔ n=25 のとき最大値をとる。
(2) (1)の最大値は 330
(3) x≧0 , y-180≧0 より (「相乗平均≦相加平均」を使って)
√x(y-180)≦{x+(y-180)}/2≦(330-180)/2=75
等号が成立するのは x=y-180 かつ x+y=330 のとき。
すなわち x=075 , y=255 のとき √x(y-180) は最大値 75 となる。
このとき アルバイト数は n=25 人、
アルバイト代は y=wn+6(30-n) より w=09 千円である。
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