〜2項定理〜
○ (a+b)n の展開式の an-r br の係数は nCr (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)n の展開式の ap bq の係数は n!/p! q! (ただし、p+q=n)
上の2つは同じこと。下の数え方は、
a を p 個と b を q 個、あわせて n 個を一列に並べる場合の数は、
まず便宜的に n 個すべてが異なるものとして数えると n! 通り。
けれどもこれでは同じものを重複して数えたことになる。重複した回数は、
p 個の a の入れ替えを考えると、同じものを p! 通りずつ重複して数えたことになる。
また、q 個の b の入れ替えを考えると、同じものを b! 通りずつ重複して数えたことになる。
したがって、重複した分を調整すると「a を p 個と b を q 個を一列に並べる」場合の数は n!/p! q! 通り。
これが (a+b)n の展開式の ap bq の係数である。
この数え方を高校数学Aの教科書では「同じものを含む順列」と呼んでいる。2項定理なら組み合わせ nCr の方がわかりやすいが、次(↓)のことを考えるには、その数え方をした方が良い。
〜3項定理〜
○ (a+b+c)n の展開式の ap bq cr の係数は n!/p! q! r! (ただし、p+q+r=n)
(a を p 個 , b を q 個 , c を r 個、あわせて n 個を一列に並べる場合の数 : 同じものを含む順列)
○ (a+b+c)n の一般項は n!/p! q! r! ・ap bq cr (ただし、p+q+r=n)
このように考えれば、項が4つになっても、5つになっても同じように表現できる。
〜多項定理〜
○ (a+b+c+d+ … )n の展開式の ap bq cr ds … の係数は n!/p! q! r! s! … (ただし、p+q+r+s+…= n)
【問】
(1) (a+b+c)8 の展開式の a2 b3 c3 の係数は?
(2) (a+2b-3c)7 の展開式の a4 b2 c の係数は?
(3) (x2 -3x+1)5 の展開式の x3 の係数は?
《答》
(1) 8!/2! 3! 3! = 8・7・6・5・4・3・2・1/2・1・3・2・1・3・2・1 = 1120
(2) 7!/4! 2! 1! ・a4 (2b)2 (-3c)1 = 7!/4! 2! 1! ・22 (-3)・a4 b2 c = -1260 a4 b2 c
(3) 一般項は 5!/p! q! r! ・(x2 )p (-3x)q 1r (ただし、p+q+r=5)
= 5!/p! q! r! (-3)q ・x2p xq
= 5!/p! q! r! (-3)q ・x2p+q … (※)
2p+q=3 のとき (p , q , r)=(1 , 1 , 3) , (0 , 3 , 2)
(p , q , r)=(1 , 1 , 3) を(※)に代入すると 5!/1! 1! 3! (-3)1 ・x3 = -60 x3
(p , q , r)=(0 , 3 , 2) を(※)に代入すると 5!/0! 3! 2! (-3)3 ・x3 = -270 x3
つまり (x2 -3x+1)5 を展開すると -60x3 と -270x3 が出てくるので、
同類項を整理して、
- 60x3 - 270x3 = - 330 x3
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