2019年8月29日木曜日

2項定理、練習問題(2)

          〜2項定理〜
○ (a+b)n の展開式の an-r br の係数は nCr  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)n の一般項は nCr an-r br  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)nnC0 an b0nC1 an-1 b1nC2 an-2 b2 + … + nCr an-r br + … + nCn a0 bn



【問】
(1) nC0nC1nC2 + … + nCn を計算すると、どうなる?
 たとえば、10C010C110C2 + … + 10C10 の値を簡単に求める方法は?

(2) nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn はどうだろう?
 要するに「(a+b)n の展開式の係数を、交互に足したり引いたりしたらどうなるか?」ということだ。
 n のまま書くと n が偶数か奇数かによって最後の符号が違うので、そこを「+(-1)nnCn」と書いた。
   具体的にいうと、「9C09C19C29C3 + … - 9C9 はいくつか?」、
  「10C010C110C210C3 + … + 10C10 はいくつか?」ということだ。

(3) nC0nC2nC4 + … はいくつ?
  nC1nC3nC5 + … は?
  これも n が偶数か奇数かによって最後の書き方が違ってくるから書きにくいのだが、
   要するに 「nC偶数 の和」 はいくつか、「nC奇数 の和」 はいくつかということだ。



《答》
(1) (※)式の右辺に a=1 , b=1 を代入すると nC0nC1nC2 + … + nCn となる。(← 1 は何乗しても 1 )
   また(※)式の左辺に a=1 , b=1 を代入すると (1+1)n = 2n となる。
   よって、nC0nC1nC2 + … + nCn = 2n が成り立つ。
   だから、たとえば「10C010C110C2 + … + 10C10」をまともに計算するより「= 210 = 1024」とやった方が楽だということ。
   では、ここで「10C010C110C2 + … + 10C10 = 210 = 1024」を別の言い方で説明しよう。
  「10枚のトランプを投げて、それぞれが表か裏になる。全部で何通りあるか?」を考える。
   ある人の数え方は「1枚目のトランプは表か裏の2通り、2枚目のトランプも表か裏の2通り … 10枚目のトランプも表か裏の2通りだから、場合の数は 210 = 1024 通り」と答えた。
   また別のある人は「表が0枚(全部裏)になるのは 10C0 通り、表が1枚(裏が9枚)になるのは 10C1 通り、表が2枚になるのは 10C2 通り … だから、総数は 10C010C110C2 + … + 10C10 通り」と答えた。
   さて、この場合、どちらの数え方も正しい。前者の数え方の方が良いような気もするが、後者の数え方も間違いではない。
  よって「10C010C110C2 + … + 10C10 = 210 = 1024」である。
   そのように考えても「nC0nC1nC2 + … + nCn = 2n」を納得できるだろう。

(2) (1) では(※)式の右辺に a=1 , b=1 を代入したが、(※)式の右辺に a=1 , b=-1 を代入すれば
   nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn となる。
   また(※)式の左辺にも a=1 , b=-1 を代入すると、左辺は (1-1)n = 0n = 0 となる。
   よって nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn = 0 である。

(3) (2) の項のうち符号がマイナスのものを右辺に移行する(符号がプラスのものだけを左辺に残す)と、
   nC0nC2nC4 + … nC1nC3nC5 + …  となる。
   すなわち「nC偶数 の和」と「nC奇数 の和」は等しい。では、その値はいくつだろうか?
   次に (1) の結果を見てみよう。要するに「nC偶数 の和」と「nC奇数 の和」が同じで、合わせて 2n なのだから、
  「nC偶数 の和」はその半分、「nC奇数 の和」もその半分である。
   すなわち nC0nC2nC4 + … = nC1nC3nC5 + … = 2n/2 = 2n-1 となる。たとえば、
   10C010C210C410C610C810C1010C110C310C510C710C9 = 29 = 512
  9C09C29C49C69C89C19C39C59C79C9 = 28 = 256 である。

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