2020年5月11日月曜日

「半分の人が家に」いれば「接触8割削減」が達成できる

 「接触8割削減」と言われているが、これは「8割の人が家から出ない」こととは違う。というのは、極端な話「1人だけが外出して、他全員が家にいる」場合、外出した1人は誰にも合わないのだから、接触数はゼロになる。このように、「家から出ない人の割合」と「接触回数の減少率」はまるで異なる値になる。
 最近のニュース報道でその点においてミス・リードが続いている。繁華街での人出の数を携帯電話の位置情報から割り出して「いついつと比較して何%減(もしくは何%増)」を示す報道がそれだ。そして「8割減には届いていない」だの「程遠い」だの言っている、その発言がトンチンカンなのである。「外出率 ≒ 接触率」という想定が大間違いだからである。
 計算してみよう。「1人だけが外出しても接触回数はゼロ」、では「2人が外出」したらどうかというと、接触パターンは1例だけ。もう少し続けよう。「3人が外出したら、接触パターンは3通り」、「4人が外出したら、接触パターンは6通り(←A,B,C,Dの4人が外出する場合、接触パターンを全部書き並べると AB , AC , AD , BC , BD , CD の6通り)」となる。すなわち、n 人が外出するときの接触パターンの数を c(n) とすると、c(1)=0 , c(2)=1 , c(3)=3 , c(4)=6 , … となる。

 ところで、このまま人数 n を増やしていくのは芸がない。というより、人数より「割合」で計算したいので、ここから先は「場合の数」より「確率」で攻めて行こう。
 また、人数が増えれば接触パターンが増えていくわけだが、全パターンを書き並べるのも芸がない。実はこれは「余事象」を使えば瞬殺である。
 ここで一気に話を進めて、突然結論に行ってしまうが、
◇ 外出する人の割合が n 倍(0<n<1)になると、
  接触機会は n2 倍になり、減少率は 1ーn2 となる。
  この値を「接触回数の減少率」と見なすことができる。もちろん現実には「濃厚か否か、接触している時間」などによって違うのだが、おおよそそのようにみなして良いだろう。少なくとも「外出率 ≒ 接触率」と想定して報道するテレビ番組よりはよほどマシである。
 具体的に計算してみよう。
 移動する人の数が8割減ると、2割の人が移動するということだから、そうなると接触する機会は 0.2×0.2=0.04 倍になる。すなわち、人と人の接触は 96%減る。
 あれっ? ここまでやらなくても良いんじゃないのか。接触が少ないに越したことはないのだろうけれど、目標が「接触8割削減」なら、これは「やりすぎ、過剰対応」ということになるだろう。
 では、移動する人の数が半数になる場合を計算してみると、接触する機会は 0.5×0.5=0.25 倍になる。すなわち 75%減だ。8割減にちょっと届かないが、これでほぼほぼクリアだ。
 なぁんだ、これでいいんじゃん! 「半分の人が家に」いれば「接触8割削減」が達成できるんだよ。半分の人は外出していいの。

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