○ 命題「1>5 ならば 1>3 である」・・・(A)
さて、上の命題は真だろうか? 偽だろうか?
「真でも偽でもない!」と言うかもしれない。でも、それは違う。ここでは詳しくは言えないが、もしそれが「真でも偽でもない」なら、コンピュータは正しく動かない。やっぱり真か偽かどちらかに決めなくてはならない。
では、次の命題はどうだろうか?
○ 命題「x>5 ならば x>3 である」・・・(B)
ちょっと考えてみてほしい。これについては「真」だと言うのではないだろうか。
ところでこの場合の x は「どんな x であっても成り立つ」という意味だ。ならば、x=1 でも成り立つはずだ。
そう、命題 (B) において x=1 の場合が命題 (A) なのである。だから「命題 (A) が真なら、命題 (B) も真」でなければ辻褄が合わないわけである。
では、もう一つ。次の命題はどうだろう。
○ 命題「1>3 ならば 1>5 である」・・・(C)
これも命題 (A) と同じくらい分かりにくい命題だろう。これについては、次の命題と比べてみよう。
○ 命題「x>3 ならば x>5 である」・・・(D)
命題 (D) の真偽については、ちょっと考えてみれば、これは偽だと言うだろう。命題 (D) において x=1 の場合が命題 (C) だ。さて、「命題 (D) が偽なら、命題 (C) も偽」だと言えるだろうか。
ところがよく考えてみると、そうは言えない。なぜなら、命題 (D) が偽という意味は「すべての x で成り立つわけではない」と言うこと、つまり「命題 (D) を満たさない x が何かしらある」ということであって、「ある特定の x では成り立つ」かもしれないのだ。そう考えると、命題 (C) を偽と決めつけるのはまだ早い。
命題 (D) に戻ろう。ところで、命題 (D) を偽だと判定したのは、反例があったからだ。反例とは「前提 x>3 を満たすけれども、結論 x>5 を満たさないもの」で、この場合は例えば x=4 が反例になる。ということは、命題 (D) において x=4 の場合の命題、すなわち、
○ 命題「4>3 ならば 4>5 である」・・・(E)
は偽になる。でも、x=1 は命題 (D) の反例にならない。ということは、命題 (D) において x=1 の場合の命題が偽だとは言えない。すなわち命題 (C) は真である。そのように判定するのが妥当だろう。
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