2019年3月25日月曜日

やかんのお湯が冷める

「モデル化とシミュレーション」の授業5回目。一連の作業の最初のステップは「条件設定」です。複雑な現象の中から「どの要因を選んで、どの要因を除くか」を判断しなければいけないのですが、一連の作業の中でここが一番難しいところと言えるかもしれません。ちょっとおさらいしておきましょう。
     <条件設定のツボ
◇ 必須の条件をガッチリ抜き出す
  (それがなかったら、○○のシミュレーションにならない)
◇ 他の条件は、なるべくシンプルに
  (シミュレーションがうまくいってから、より精巧なものを)
◇ 現実を忠実に再現するのがいいとは限らない
  (特定の要因を取り出して、その働きを調べることも重要)
◇ モデルが異なれば、シミュレーション結果も異なる
  (目的に応じて、切るべきものはバッサリ切る)
     <モデル化のコツ
◇ フローに向かって矢印を引く
  ・フローが計算できれば、後は足し算・引き算でストックが求まる
◇ 少しずつ具体化する
  ・図解モデルで、フローを決める要因を書き出す
  ・数式モデルで、使う関数を書き出す
  ・シミュレーションで、数値を決める
◇ 手計算不要
  ・式だけ与えてやれば、エクセルが計算してくれる
◇ 時間のパラメータ不要
 ・エクセルで下方向にコピーすることで、時間を変化させる
それでは今日も2つばかりやってみましょう。条件設定から、モデル化、そしてシミュレーションまでまるごとやってもらいます。
     <トライアル4
「やかんのお湯が冷める」様子をシミュレーションしてみよう。
「様子」という言葉があいまいですが、「冷める」ということですから、「温度変化」を考えるのがよさそうです。さて、この場合も複雑に考えたらきりがありません。やかんの表面と中心部では温度が違うでしょうし、対流も起きているはずです。それらをすべて盛り込むのはとても難しいでしょうし、ものすごく複雑なモデルになりそうです。
 ではどうしたらいいのかというと、必須の要因だけをガッチリ押さえて、他はなるべくシンプルにすればいいのです。いきなり複雑なモデルを考えたら、たぶん収拾がつかなくなるでしょう。よりリアルで複雑なモデルは、シンプルなモデルでうまくいってからにした方が賢明です。
ちなみに、右のようなものはうまくいきません。<図1>では際限なく温度が低下してしまいますし、<図2>では0℃(絶対零度?)に収束してしまいます。
 実はパラメータがもう1つ必要です。「シンプルなのがいい」といっても、それを外したらこの場合のモデルになりません。それはこの場合に「絶対に外せない条件」です。
さて、それは何でしょうか。


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