2019年3月25日月曜日

食物連鎖を再現する

 「モデル化とシミュレーション」の授業6回目。今日はちょっと複雑なものをモデル化してみましょう。
     <トライアル5-1
 羊は草を食べて育ちます。草が多くあれば羊は増えますが、羊が増えすぎると草が減って、羊は減り始めます。そうすると草はまた増え始め、それにつれて羊も増えていきます。・・・このように、草の量と羊の頭数は周期的に増減を繰り返します。この様子をモデル化しなさい。
生物の時間に習いましたね。「草が増える→羊が増える→草が減る→羊が減る→草が増える→・・・」と。この様子をまず図解してみましょう。
この場合、変動する量が2つあって、この2つがストックになります。そして、互いに相手の数量の増減に影響を与えます。このカリキュラムで初めて出てきた、いわば「連立型」です。
 2つのストックにそれぞれ2つのフローを立てましょう。次に考えるべきことは、「フローに向く矢印を引く」ことです。うまく条件を設定しながら、各フローに最低1本の矢印を引きましょう。

 さてこの場合、絶対に外すことのできない必須の条件は何でしょうか。それは(A)草が羊に食べられて、草が減少することと、(B)羊が草を食べて、羊が増加することです。この2つを外したら、食物連鎖のモデルになりません。それ以外の条件は必ずしも必要ではありません。「羊のフンで草が育つ」とか、「羊が狼に食べられる」とか、「砂漠化の影響」とか、そんなものは外していい。
(A)は「羊の数から、草の減少量へ」向く矢印に、(B)は「草の量から、羊の増加量へ」向く矢印になります。そうすると、あと必要なのは、「草の増加量」に向く矢印と、「羊の減少量」に向く矢印ですね。
 前者は一定の量だけ自然に伸びると考えて、「定数」から矢印を引くことにしましょう。後者は寿命がきて羊が死ぬと考えて、「羊の数」から矢印を引くことにしましょう。これで一応完成です。
 ただ、「羊の増加量」が「草の量」だけで決まると考えるのはあまりにも不自然ですので、「羊の数」からも矢印を引きました。こうして、図解モデルの完成です。
数式モデルは、次のようになります。

◇ 草の増加量=定数       (草が生える)
◇ 草の減少量=羊の数×定数  (羊に食べられる)
◇ 羊の増加量=羊の数×草の量×定数(草を食べる)
◇ 羊の減少量=羊の数×定率    (羊が死ぬ)

数式モデルからエクセルの関数式に書き換えて、グラフ化したものが右のグラフです。実はそれを作るのに、ボクはずいぶん苦労しました。係数と時間の間隔を決めるのが、大変でした。ですから、生徒にシミュレーションさせるのは無謀だと考えて、「見せるだけ」としました。
 この課題、「条件設定→図解モデル→数式モデル」まで出来ればOKです。


0 件のコメント:

コメントを投稿