2019年3月25日月曜日

フェルミ推定とは?

 「モデル化とシミュレーション」の授業8回目。最終回です。今日はパソコンは使わず、紙の上で計算します。前回までの内容とは、ちょっと雰囲気が変わります。

ここでちょっと、たとえ話。・・・たまたまエレベーターに乗り合わせた社長に聞かれました。「例のプロジェクト、採算とれそう?」
 そんなとき、「さぁ・・・」と答えたのでは、社長には何も伝わりません。社長は現段階での進捗状況を尋ねたんですね。プロジェクトについて、まだ決まっていない部分もあるでしょう。見通しが立たない部分もあるでしょう。また、正確なことは「やってみなくちゃわからない」というならその通りです。けれどもこの場面では、正確なことよりも、現段階での大ざっぱな見通しを伝えるべきです。それを、エレベーターに乗っている数分間で。
 次のたとえ話。・・・天候の影響で電車が止まってしまいました。駅で乗客が駅員に尋ねました。「電車、いつ来るんですか?」
 そんなとき、「さぁ・・・」と答えられたら、乗客は困ってしまいます。乗客が求めているのは、正確な時間ではなく、見通しなんですね。駅員は乗客よりも多くの情報を持っているでしょうし、これまで同じようなことを何度か経験しているはずです。正確に「電車がいつ来るか」は分からないにしても、駅員には乗客に比べてよりよい見通しがあるはずです。駅員はその時点で持っている情報をもとに、駅員の見通しを示せばいいんです。そうすれば、乗客はそれを勘案して「もうしばらく待つか、いったん家に戻るか」を判断するでしょう。
フェルミ推定>とは、
◇ すでに知っていることだけを使い(わからないことは後で調べればよい)
◇ 大局的に物事を見て(細部が正確でも全体には影響しない)
◇ 概数を求めるための枠組みを作り(=モデル化)
◇ 限られた時間内に数値を出す(=シミュレーション)
ことです。枠組みがそこそこ出来ていれば、精度は後でいくらでも上げられます。
このように説明してもピンとこないでしょうから、1つ具体的にやってみましょう。
   <サンプル>
日本中に電信柱は全部で何本あるか?
   《解答例》
・日本の面積は37万km2で、そのうち市街地10%、農地20%、山70%
・1km2あたりの電信柱の本数は、市街地で300本、農地で20本、山で3本
・よって、37万×(300×0.1+20×0.2+3×0.7)=1300万本
とりあえず数字を出すことがポイントです。後でいくらでも修正できますから。市街地・農地・山の比率が違っているならその数値だけ入れ替えればいい。それぞれの場所での電信柱の本数が違っていると思えば、それを他の数値で置き換えることでまたまた精度が上がります。


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