2019年3月25日月曜日

S字カーブを描いてみよう

「モデル化とシミュレーション」の授業7回目。俗に「ねずみ算式に増える」といいますが、現実にある多くのものは限りなく増え続けることはないでしょう。「世界人口が年率○%で増え続ける」といっても、たぶん百兆人を超えることはないでしょう。「勉強すれば必ず点数が上がる」といっても、満点を超えることはありません。現実にはおのずから上限(許容量)があったり、やがてバランスをとったりして、ある値に収束していくことの方が普通でしょう。今日は、そういうものを扱います。
 <トライアル6
S字カーブを描いてみよう。
ねずみで考えましょう。<図1>は前に扱った図解モデルの<基本形2>と同じです。この場合、ねずみは一定の割合で増え、ねずみの総数はグラフの「点線」のように限りなく増え続けることになります。
けれども、スペースやエサに限りがある場合、無限の数のねずみは生息できません。ねずみの増え方はだんだん穏やかになって、やがて増えなくなるでしょう。その様子をグラフ化すると、上のグラフの「実線」のような「S字形のカーブ」になります。
では、エクセルを使って実際にS字カーブを描いてみましょう。そのために「図解モデル→数式モデル→エクセルの関数式→グラフ」と順番に進んでいきます。
<図2>のようなモデルを考えてみましょう。「上限(許容量)」を設定して、ねずみの数がそれに近づくにつれて増加率が減少して、やがて増加率がゼロになるようにしなければなりません。そのためには、
◇ 増加量=ねずみの数×増加率×(1-ねずみの数/上限)
とすればよい。なお、この式は
◇ 増加量=ねずみの数×(上限-ねずみの数)×定数
と実質的に同じです。

 図解モデルの<基本形1>と<基本形2>のグラフとそれぞれに上限を設定したグラフ、全部で4種類のグラフを描いてみました。右のシートのセルC3の式は「=C2+B3」で固定して、セルB3の式を変えています。
 (1)と(2)は<基本形1>と<基本形2>のグラフです。それらに上限1000を設定したグラフが(3)と(4)です。セルB3の式を、(1),(2),(3),(4)の順に、
= 70
= C2*0.4
= 70*(1-C2/1000)
= C2*0.4*(1-C2/1000)
としました。(4)がS字カーブです。

 一般に、モノが増えるときの増え方は直線的ではなくて、指数関数的(加速度的)です。と同時に、無限に増え続けるものではなくて、どこかに限度があるはずです。ということは、S字カーブこそが「モノの増え方の基本形」だといえるでしょう。


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