感染症が広がるのも、うわさやデマが広まるのも、情報伝達の一種です。最初はゆっくりと、次第に急速に広がって、そしてやがて収まっていく。その様子をモデル化して、エクセルでシミュレーションしてみましょう。
まず、情報量(たとえば感染者数)の初期値(たとえば1人)を設定します。次に、情報の増加率(伝達率)を設定します。その上で、エクセルのセルに
という関数式を入力してコピーして、情報量の推移をグラフにすると、指数関数のグラフが得られます。これは情報量が加速度的に(いわゆる
ねずみ算式に)無限に増えるグラフになりますが、感染症でもうわさでも人口を超えて増え続けることはありませんね。そこで、次に上限(人口)を設定することにします。
- 情報量=前の情報量×(1+増加率)×(1ー前の情報量/上限)
こうすれば、情報量が上限に近づくにつれて増え方が穏やかになります。アルファベットのSのような形であることから「
S字カーブ」と呼ぶことにしましょう。
けれどもこのモデルでは、最終的に上限(全人口)いっぱいまで広がって、一向に減らないことになりますから、もう一工夫しましょう。
ここでは一定時間(たとえば2週間)後に感染症が治ったり、うわさ話をしなくなったりして、その分だけ情報量が減少するようなモデルを考えます。そのために、まず「減少量」を設定してみました。
けれども、これではまだ終息には至りませんでした。考えてみると、このモデルは「感染症が治った人が再び同じ感染症に罹っ」たり、「うわさ話に飽きてうわさをしなくなった人が、他の人から同じうわさ話を聞いて再びうわさ話をし始め」たりする状況ですから、実態にあいませんね。そこでさらに
こうすることで、最初はゆっくりと、次第に急激に増えて、やがてピークに達して、そこから減少に転じて、最終的にはゼロに近づくような山型の波形になりました。「流行
終息曲線」と呼ぶことにしましょう。