◇ ピッチャーとバッターの対決を3Dで見る
前ページでは座標平面上に期待値グラフを描いたが、ピッチャーの選択とバッターの選択の2つのパラメータでヒット率が決まるのだから、本当は期待値グラフは3次元空間内の曲面になる。
ピッチャーが変化球を投げる確率を x、バッターが変化球と予想する確率を y として、このときバッターがヒットを打つ確率を z とすると、
z=0.5(1-x)(1-y)+0.1x(1-y)+0.3(1-x)y+0.4xyとなり、この式をもとにエクセルを使ってグラフ化したものが右グラフ(3次元期待値グラフ)である。
このグラフをバッターは①の方から見ている。そうすると前記事の<グラフ①>のように見える。ピッチャーは②の方から見ている。これが前記事の<グラフ②>だ。
さて、この場合、ゲームの解がどこになるかというと、曲面を地形に見立てたときにちょうど峠にあたる場所である。その点は、2次元期待値グラフでいうと2直線の交点にあたる。
◇ コイン・ゲームを3Dで見る
下のグラフにおいて、x 軸は「Aが裏を出す確率」、y 軸は「Bが裏を出す確率」、z 軸は「Bの獲得ポイント」である。
3次元曲面を①の方向から見ると、2直線の交点はわずかながら x 軸より上にある。つまり、Bが有利。そのグラフの上下をひっくり返せば「Aの獲得ポイント」になる。もちろん、Aは不利。
山を越えるとき、高低差が最も小さい道のりを行きたい。それが最も楽だから。その道のりの最高地点、峠の茶屋のあるところ。そこがゼロサム確率ゲームの解になる。
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