2019年3月22日金曜日

確率ゲームを連立方程式で解く

 練習問題 No.6(→ https://omori55.blogspot.com/2019/03/no6.html )の解説・解答(→ https://omori55.blogspot.com/2019/03/no.html )の補足説明です。



◇ 期待値グラフが直線になるわけ
 ピッチャーが直球を投げるとき、バッターが変化球と予想する確率を x、直球と予想する確率を (1−x) とする。このときバッターがヒットを打つ確率は、
0.5(1−x)+0.3x=-0.2x+0.5
となる。この式が x の1次式であることに注目すれば、ヒット率を表す期待値グラフが直線になることが分かる。
 そして、直線になることが分かれば、式を立てなくても、グラフの両端の点を結べばそれでよい。

 同じようにピッチャーが変化球を投げるときにバッターがヒットを打つ確率(期待値)は
0.1(1−x)+0.4x=0.3x+0.1
となる。<グラフ①>の右上がりの直線である。
 ところで、ここまではピッチャーが直球を投げるときと変化球を投げるときだけを考えたが、実際にはピッチャーは直球と変化球を確率的に投げ分ける。その場合もヒット率(期待値)は必ずグラフの斜線部分に収まる。

◇ 確率ゲームを連立方程式で解く
 さらに、ピッチャーが合理的なら(バッターの戦略がピッチャーに読まれたら)、ヒット率は斜線部分の下端になる。そう考えると、バッターの戦略としては2直線の交点が最も望ましいことになる。
すなわち、2直線の交点がゲームの解である。それを求めるには連立方程式を解けばよい。
z=−0.2x+0.5
z=0.3x+0.1
を解くと、(x , z)=(0.8 , 0.34)となる。

 また、この対決をピッチャーの立場で見たものが右の<グラフ②>である(y:ピッチャーが変化球を投げる確率、z:ヒット率)。2直線の方程式は、
z=−0.4y+0.5
z=0.1y+0.3
となり、これを解くと(y , z)=(0.4 , 0.34)となる。
以上から、
・ピッチャーの戦略直球と変化球を0.6:0.4=3:2の割合で配球
・バッターの戦略直球と変化球を0.2:0.8=1:4の割合で予測
・ゲームの解打率は 0.34(3割4分)となる。
ところで、グラフ中の2つの三角形は相似だから、相似比を使って交点を求めるのが手っ取り早い。しかも相似比は利得表中の数の差である。だから結局は、利得表に欄を少々書き足して欄を埋めることでゲームの解が求められる。それが拡張版利得表である。


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