ピッチャーが直球を投げるとき、バッターが変化球と予想する確率を x、直球と予想する確率を (1−x) とする。このときバッターがヒットを打つ確率は、
0.5(1−x)+0.3x=-0.2x+0.5となる。この式が x の1次式であることに注目すれば、ヒット率を表す期待値グラフが直線になることが分かる。
そして、直線になることが分かれば、式を立てなくても、グラフの両端の点を結べばそれでよい。
同じようにピッチャーが変化球を投げるときにバッターがヒットを打つ確率(期待値)は
0.1(1−x)+0.4x=0.3x+0.1となる。<グラフ①>の右上がりの直線である。
ところで、ここまではピッチャーが直球を投げるときと変化球を投げるときだけを考えたが、実際にはピッチャーは直球と変化球を確率的に投げ分ける。その場合もヒット率(期待値)は必ずグラフの斜線部分に収まる。
◇ 確率ゲームを連立方程式で解く
さらに、ピッチャーが合理的なら(バッターの戦略がピッチャーに読まれたら)、ヒット率は斜線部分の下端になる。そう考えると、バッターの戦略としては2直線の交点が最も望ましいことになる。
すなわち、2直線の交点がゲームの解である。それを求めるには連立方程式を解けばよい。
z=−0.2x+0.5を解くと、(x , z)=(0.8 , 0.34)となる。
z=0.3x+0.1
また、この対決をピッチャーの立場で見たものが右の<グラフ②>である(y:ピッチャーが変化球を投げる確率、z:ヒット率)。2直線の方程式は、
z=−0.4y+0.5となり、これを解くと(y , z)=(0.4 , 0.34)となる。
z=0.1y+0.3
以上から、
・ピッチャーの戦略直球と変化球を0.6:0.4=3:2の割合で配球ところで、グラフ中の2つの三角形は相似だから、相似比を使って交点を求めるのが手っ取り早い。しかも相似比は利得表中の数の差である。だから結局は、利得表に欄を少々書き足して欄を埋めることでゲームの解が求められる。それが拡張版利得表である。
・バッターの戦略直球と変化球を0.2:0.8=1:4の割合で予測
・ゲームの解打率は 0.34(3割4分)となる。
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