施設内はカメラ・スマホなど持ち込み不可のため個人で写真を撮ることはできませんが、案内してくれた東京電力の方が写真を撮ってくれて、後日その写真を参加者に配布してくれました。
1日目は2Fを訪れ、運転停止中の格納容器内に入りました(写真右下)。1Fで事故を起こした原子炉と同じような構造なので、1Fでどの場所に核燃料が溶け落ちたのかなどが実感を伴っておよそ分かります。翌日に訪れる1Fの予習になりました。
2日目は東京電力の廃炉資料館(事故前は「エネルギー館」だった)を見学した後、そこから先は東電のバスで1Fへと向かいました。
1Fでは事故を起こした1〜4号機が見える高台から事故現場・作業現場を見学し(写真左上)、その後1〜4号機の側を歩いて見学したり(写真右上)、その他の施設を見学したりして、ここでも5号機(1F事故当時は定期点検中で運転していなかった。5号機は事故を起こしていない)の格納容器に入りました(写真左下)。
左上:1F1〜4号機が見える高台から 右上:1F3号機の水素爆発の痕
左下:1F5号機の格納容器内 右下:2Fの格納容器内
写真を見ての通り、場所によっては防護服(と言ってもビニール製)とマスク(と言っても市販の物)にヘルメット(配管や配線に頭をぶつけそうですから)といった出で立ちです。放射線物質を持ち出さないように、靴を何度も取り替えながらの見学です。
当然ガイガーカウンター(放射線測定器)を携帯して、管理区域に入る前と入った後に放射線検査をして、被ばく量ならびに衣類などに放射性物質が付着していないかをしっかり検査します(ですから、いちいち時間がかかります)。
こうして2日間、私が管理区域にいたのはのべ4時間ほどですが、被ばく量は合わせて 0.04 mSv(ミリ・シーベルト)= 40μSv(マイクロ・シーベルト)ほどでした。
では、ここで【問題】です。放射線医学総合研究所が公表している「放射線被ばくの早見図」を参考にして、私が1Fと2Fで受けた放射線量に最も近いものを次の中から選んでください。
ア.胸のX線集団検診1回分
イ.CT検査1回分
ウ.日本で普通に暮らしていて受ける自然放射線量の1か月分
エ.原子力や放射線の作業者の1年間の線量限度の1日分
オ.東京ーNY間を飛行機で往復する際に受ける、高度による宇宙線の増加分
「放射線被ばくの早見図」(→ https://www.nirs.qst.go.jp/data/pdf/hayamizu/j/20180516.pdf )を見ていただけるとすぐにわかると思いますが、正解は「ア」の「胸のX線集団検診1回分」です。ア〜オの中で最も少ない線量です。
実際に行ってみて思ったのは、事故から8年半が経って除染も進んで放射線量がだいぶ下がっていること、それでも作業者・見学者の被ばく量については過重なほど(?)管理されていること、そして廃炉に向けた作業が(ゆっくり?ではあっても)着実に進んでいるということです。