2019年3月27日水曜日

無限ってなんだかいかがわしい

 前に出した問題「板をズラして積み上げる」の続きです。



【問】大きさ・重さが同じ板が4つある。
   1つの板の長さを1とする。
   これらを右のように積み上げる。

 (1) 全体の長さ(全長)は、どこまで長くなるかな?

 (2) 板がもっとたくさんあったら、どうだろ?
   無限個積み上げたら、どこまで長くなるんだろ?

 崩れちゃダメだよ。



 この問題の (2) の《答え》は「板を無限個積み上げたら、全長は無限に長くなる」でした。
 ここではもう少し具体的に「板をどの高さまで積み上げたら、全長はどれくらい長くなるか?」を見ていこう。
 まず、板の長さを 10cm、厚さを 1cm とする。どこにでもありそうな板だろう。その板の枚数をどんどん増やしていって、高く高く積み上げて、板がどこまで横に長くなるかを調べてみた。


 板の枚数が5枚までは正確に計算した。5枚積んだ時点で、板の長さの2倍の 20cm を超えた。
 それ以上まともに計算するのは無茶なので、先ほど示した式
1+1/2+1/3+ … +1/n < 1+log n
の右辺 1+log n を使って、n 枚積み上げたときの板の全長 L を求めてみた。不等号の向きから分かるように、それは若干多めに見積もった長さである。理論的な全長 L はそれよりいくらか短い値になる。
 10 枚積み上げると 26cm、100 枚積み上げる(高さ 1m)と 38cm 。思ったほど長さが伸びない。そこで一気に東京スカイツリーの高さ(648m=64,800枚)まで積み上げると 70cm、エベレスト山の高さ(8,848m=884,800枚)まで積み上げても 83cm 。全長 L はまだ 1m に届かない。
 ヤケクソというわけではないが、月まで積み上げたら、さすがに 1m を超えた。太陽まで積み上げたら、さらに伸びたものの、2m には届かない。

 そう、「全長 L が無限に長くなる」と言っても、その増え方はこんなものなのである。理屈では無限大であっても、現実には 1m にも達しないのだ。無限ってなんだかいかがわしい。こんな事例 もあった。


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