2019年8月31日土曜日

ベクトルの問題は矢印問題と内積問題に分けろ

 ベクトルの【問題】を「平面ベクトル」と「空間ベクトル」に分けて捉えるのはうまくない。それよりも「矢印問題」と「内積問題」に分けて捉える方が良い。
 内積問題とは「内積情報を含む問題」のことだが、ここでいう内積とは、いわゆる内積 a・b だけではなくて、長さも角度も面積も体積も含む。
 そしてそれら、すなわち内積も長さも角度も面積も体積も含まない問題が「矢印問題」である。そこで出てくるものは「比の情報」だけである。
 そしてそれら2つでは、解き方がまるで異なるのである。内積問題ではひたすら内積を計算するのみ。典型的にはベクトルの絶対値の2乗を展開することだ。その場面では図を描いたり考えたりすることにあまり意味はない。うまい解き方もない。ただひたすら内積計算(実際には展開)するのみである。
 一方、矢印問題では図を描くことが必須。矢印をしっかり追うためである。そしてその問題でほとんどいつも現れるのが「交点」。その場面で万能に使えるテクニックが「s:1-s , t:1-t とおいて、係数比較」である。そして多くの問題で裏技的テクニックが使える。
 以上のことは、平面ベクトルでも空間ベクトルでも言えることだ。教科書の分類ではベクトルは「平面ベクトル」と「空間ベクトル」に別れているが、【問題】の解き方という観点で分けると「矢印問題」と「内積問題」に分ける方が合理的なのである。
 矢印問題では「s:1-s , t:1-t 法」が万能で、いろんな裏技も使える。一方、内積問題では「ひたすら内積計算するのみ」で、そこに裏技もテクニックもない。

利益を最大化する(慶応大の入試問題より)

(慶応大・総合政策2019・数学より)

 ある大学である学会の全国大会が日曜日に開催されることになり、受付や教室での資料配布などの仕事を誰かに頼む必要が生じた。仮に学生にアルバイト代を支払って手伝ってもらうとすると、人材派遣会社から人を派遣してもらう場合と比較して、サービスの質はやや劣るが人件費を節約でき、学会大会の手づくり感を演出することで、参加者に大学での好感を持ってもらうことができるメリットがある。
 A教授はこの学会の会員であり、今回の学会大会の責任者であるが、自分の研究室に所属する学生(以下、ゼミ生)に手伝ってもらうことを考えた。もし、n 人のゼミ生に手伝ってもらい、1人あたりのアルバイト代の日給が w 千円とすると、全体で wn 千円の支払いが必要となる。そして、上記の人件費の節約や大学の好感度の向上といったメリットは、60√n 千円であるとすると、A教授にとっては、x=60√n-wn の値が大きければ大きいほど好ましいと考えられる。
 一方、A教授のゼミ生は全部で30人で、日曜日に全員家庭教師のアルバイトをしていて、1日あたり6千円を各学生は稼いでいる。仮に学会の手伝いをすると、その日の家庭教師のアルバイトはできない。したがって、ゼミ生全体の立場からは、y=wn+6×(30-n) が大きければ大きいほど好ましいと考えられる。

(1) x+y を最大化する学生手伝いの数は n=□□ である。

(2) A教授はゼミ生の代表のB君と相談することにした。ここで、x+y の最大は □□□ であることに注意しよう。また、A教授とB君の相談がまとまらなければ n=0 となることに注意すると、x≧0 , y≧180 でなければならない。

(3) そこで、A教授とB君は、これらの x , y の範囲を満たしつつ、x×(y-180) を最大化する x=□□□ , y=□□□ で合意した。このとき、A教授は □□ 人の手伝ってもらうゼミ生に対して、1人あたり □□ 千円をアルバイト代として支払うことになった。



《解説・解答》
(1) x+y={60√n-wn}+{wn+6(30-n)}
     =-6n+60√n+180
     =-6(√n-5)2+330
  よって √n=5 ⇔ n=25 のとき最大値をとる。

(2) (1)の最大値は 330

(3) x≧0 , y-180≧0 より (「相乗平均≦相加平均」を使って)
  √x(y-180)≦{x+(y-180)}/2≦(330-180)/2=75
    等号が成立するのは x=y-180 かつ x+y=330 のとき。
  すなわち x=075 , y=255 のとき √x(y-180) は最大値 75 となる。
  このとき アルバイト数は n=25 人、
       アルバイト代は y=wn+6(30-n) より w=09 千円である。

2019年8月29日木曜日

★ 2項定理(数学Ⅱ)

 数学Ⅱ「2項定理」の授業、3時間コースです。「パスカルの三角形 → 2項定理 → 3項定理」と進みます。
 1時間目は、まず「パスカルの三角形の書き方」を確認して、「なぜその書き方で良いのか?」を2項定理を作りながら示した。場合の数の理解を深めるのにも、ちょうど良かった。
 そして2時間目に、2項定理の練習問題。前半の3問後半の3問の計6問をみんなで一緒に解いて理解を深めた。
 そして3時間目に、3項定理を説明して、引き続いて3項定理の練習問題。その流れの中で、多項定理を一応紹介した。

 内容 詳細
1時間目パスカルの三角形と2項定理パスカルの三角形の裏事情
2時間目2項定理の練習問題その1その2
3時間目3項定理と練習問題2でやめるな、3までやれ、4はいらん

そして3時間目の終わりに次のような話をした。
  • 2項定理で満足するな。3項定理までやれ。多項定理はやらなくていい。
2では一般化できないが、3までやれば一般化できる」 からです。数学の他の分野でも例を挙げました。
  • 2次関数で終わるな。3次関数までやれ。そうすれば4次関数でも5次関数でも扱える。
  • 2変数 y=f(x) で終わるな。3変数 z=f(x , y) までやれ。そうすれば変数が増えても対応できる。
  • 平面図形(2次元)だけで満足するな。空間図形(3次元)までやれ。そうすればn次元がわかる。
数学の鍵は「3」です。一般化、抽象化、変化、いずれにも「3」が大きく関わります。

2でやめるな、3までやれ、4はいらん

 新学期になって初めの3時間で「パスカルの三角形2項定理3項定理(多項定理)」と授業を進めた。そして3時間目の終わりに次の話をした。



 2項定理で満足するな。2項定理も十分に難しいが、3項定理までしっかり練習しよう。そして3項定理が使えるようになれば、4項定理も5項定理も形はほとんど同じだから、実は4項定理や5項定理は練習しなくてよい。
 これはいろんな場面で言えることなのだが、2でやめたら勿体無い。2では一般化できないからだ。でも、3までやれば一般化できる。そこまでやれば4も5も同じだから、実は4や5はやる必要が無いのだ。
 つまり、言いたいのはこういうこと。「2でやめるな、3までやれ、4はいらん」。高校数学に関連する範囲で、他の例を示そう。

○ 2次関数で終わるな。3次関数までやれ。そうすれば4次関数でも5次関数でも扱える。
○ 2変数 y=f(x) で終わるな。3変数 z=f(x , y) までやれ。そうすれば変数が増えても対応できる。
○ 平面図形(2次元)で満足するな。空間図形(3次元)までやれ。そうすればn次元がわかる。

 さらに、これは数学に限った話ではない。これはもう「普遍的な真実」と言っても良いくらいだ。他の例を挙げよう。

○ ババ抜きは3人以上でやれ
 2人でババ抜きしてもつまらない。どちらががババを持っているか、相手がどんなカードを持っているかを、お互いに全部わかっているからだ。
 1人でババ抜きしたら、もっとつまらないぞ。配ったカードは全部自分のところに来て、同じ数字のペアを順に捨てていくと、最後にババが残って自分の負け。配る前から結果は全て見えている。
 でも、3人でやれば途端に面白くなる。みんながしらばっくれていれば、誰がババを持っているか、何のカードが動いたか、カードの組ができて捨てられるか否か、そんなことが一切わからない。
 そして、ここが大事な点だが、その面白さは4人になっても5人になっても維持される。2人と3人ではまるで違うが、3人以上ではほとんど変わらないのである。

○ ドミノ倒しの原理
 ドミノ倒しという話からには、ドミノは3枚以上必要だ。1枚ではドミノ倒しとは言わない。「何かがバタンと倒れた」、それだけの話である。
 2枚でもドミノ倒しとは言えないだろう。実際、2枚を倒すのは簡単だ。大きさがバラバラでも、距離や向きが適当でも、大体倒れる。
 ところが3枚になると、途端に難しくなるのである。大きさをそろえ、等間隔に平行に置かなければならない。鍵は真ん中のパイである。真ん中のパイは 「前のパイに押されて自らが倒れながら、次のパイを押して倒す」。つまり、真ん中のパイがドミノ倒しをリレーしていくのである。
 そして3枚でうまくいけば、4枚でも5枚でもうまくいく。理論的には体育館いっぱいに並べたドミノを順に全部倒すこともできる。

○ 三角関係が人間関係の基本形
 人間関係も同じ。1人ではコミニュケーション取れない。2人ではコミニュケーション取れるが、固定化する。つまり、発展しない。ところが、3人いると途端に流動的になる。2人が仲良くなって1人が取り残されるとか、2人の関係がおかしくなったときにもう1人がとりなすとか、ちょっとしたことで距離感がコロコロ変わる。
 そして3人でうまくやれれば、4人でも5人でも100人の集団でも同じやり方を適用できる。
 2人で仲良くしているだけでは発展しない。固定化して、男女関係ならやがて飽きがくる。一方、三角関係は最初は波乱があっても、やがて四角関係、五角関係へと発展して、最後には円関係になってまぁるく収まるのである。

 話を元に戻そう。言いたいのは「2でやめるな、3までやれ、4はいらん」ということ。「2では一般化できないが、3までやれば一般化できる」からである。だから「2項定理で満足するな。3項定理まで勉強しろ。多項定理なんかやらなくていいぞ」と、言いたいのはそういうことだ。

 勢いに乗って、小学校の算数から「2でやめるな、3までやれ、4はいらん」の例を挙げよう。

○ 掛け算も3桁までやれ
 3桁の掛け算をするときの、十の位を見てみよう。十の位は一の位から繰り上がりを受け取りながら、百の位に繰り上がりを送る。これは、ドミノ倒しの真ん中のパイと同じで、繰り上がりをリレーするわけだ。
 ところが2桁の掛け算では、一の位は繰り上がりを送るだけで、十の位は繰り上がりを受け取るだけ。繰り上がりのリレーが起きないわけである。だから、2桁の掛け算ができたからと言って、3桁の掛け算ができるとは限らない。
 3桁の掛け算ができれば、4桁でも5桁でも大丈夫。3桁のときと同じ操作を繰り返せば良いからだ。

○ 3桁×3桁までやれば十分
 とは言ったものの、3桁×2桁の掛け算ではまだ不十分だ。3桁×2桁の掛け算をする場合、筆算途中の式で左に1つ数字をズラして書く。だが、それができても、3桁×3桁の掛け算ができるとは限らない。
 3桁同士の掛け算をすれば、1回ごとに1つずつズラすことになるので、その経験があれば、桁数がさらに増えても掛け算できる。

 (3桁×2桁)   (3桁×3桁)
         
   ×      × 
         
        
         ←2桁の掛け算しか知らないと、
            ここをどうしたら良いかが分からない。


○ 足し算でも3つの数を足せ
 2つの数を足すとき、繰り上がりがあるとしても1だけ。でも3つの数を足すと、繰り上がりの数が1のときもあれば2のときもある。
 2数の足し算だけをやっていては、いつも「繰り上がりは1」とやりかねない。でも3数の足し算をやれば「下の位を足したときの最上位の数を繰り上げれば良い」ことが分かって、4数の足し算でも5数の足し算でもできるようになる。

 数学の鍵は「3」。一般化、抽象化、変化、いずれにも「3」が大きく関わる。
 余談だが、記事中の数学の例3つ、他の例3つ、算数の例3つと、とことん「3」にこだわった。


◇ パスカルの三角形の裏事情 (→ https://omori55.blogspot.com/2019/03/blog-post_463.html )
◇ 2項定理の練習問題(1) (→ https://omori55.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html )
◇ 2項定理の練習問題(2) (→ https://omori55.blogspot.com/2019/08/blog-post_96.html )
◇ 3項定理と練習問題    (→ https://omori55.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html )

3項定理(練習問題付き)

          〜2項定理〜
○  (a+b)n の展開式の an-r br の係数は nCr  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○  (a+b)n の展開式の ap bq の係数は n!/p! q!  (ただし、p+q=n)
上の2つは同じこと。下の数え方は、
   a を p 個と b を q 個、あわせて n 個を一列に並べる場合の数は、
   まず便宜的に n 個すべてが異なるものとして数えると n! 通り。
  けれどもこれでは同じものを重複して数えたことになる。重複した回数は、
    p 個の a の入れ替えを考えると、同じものを p! 通りずつ重複して数えたことになる。
     また、q 個の b の入れ替えを考えると、同じものを b! 通りずつ重複して数えたことになる。
   したがって、重複した分を調整すると「a を p 個と b を q 個を一列に並べる」場合の数は n!/p! q! 通り。
   これが (a+b)n の展開式の ap bq の係数である。

   この数え方を高校数学Aの教科書では「同じものを含む順列」と呼んでいる。2項定理なら組み合わせ nCr の方がわかりやすいが、次(↓)のことを考えるには、その数え方をした方が良い。

           〜3項定理〜
 ○  (a+b+c)n の展開式の ap bq cr の係数は n!/p! q! r!  (ただし、p+q+r=n)
   (a を p 個 , b を q 個 , c を r 個、あわせて n 個を一列に並べる場合の数 : 同じものを含む順列)
○  (a+b+c)n の一般項は n!/p! q! r! ・ap bq cr   (ただし、p+q+r=n)

  このように考えれば、項が4つになっても、5つになっても同じように表現できる。

           〜多項定理〜
○  (a+b+c+d+ … )n の展開式の ap bq cr ds … の係数は n!/p! q! r! s!  (ただし、p+q+r+s+…= n)



【問】
(1) (a+b+c)8 の展開式の a2 b3 c3 の係数は?

(2) (a+2b-3c)7 の展開式の a4 b2 c の係数は?

(3) (x2 -3x+1)5 の展開式の x3 の係数は?



《答》
(1) 8!/2! 3! 3! = 8・7・6・5・4・3・2・1/2・1・3・2・1・3・2・1 = 1120

(2) 7!/4! 2! 1! ・a4 (2b)2 (-3c)1 = 7!/4! 2! 1! ・22 (-3)・a4 b2 c = -1260 a4 b2 c

(3) 一般項は 5!/p! q! r! ・(x2 )p (-3x)q 1r  (ただし、p+q+r=5)
      = 5!/p! q! r! (-3)q ・x2p x
     = 5!/p! q! r! (-3)q ・x2p+q … (※)
   2p+q=3 のとき (p , q , r)=(1 , 1 , 3) , (0 , 3 , 2)
  (p , q , r)=(1 , 1 , 3) を(※)に代入すると 5!/1! 1! 3! (-3)1 ・x3 = -60 x3
  (p , q , r)=(0 , 3 , 2) を(※)に代入すると 5!/0! 3! 2! (-3)3 ・x3 = -270 x3
  つまり (x2 -3x+1)5 を展開すると -60x3 と -270x3 が出てくるので、
  同類項を整理して、      - 60x3 - 270x3 - 330 x3

2項定理、練習問題(2)

          〜2項定理〜
○ (a+b)n の展開式の an-r br の係数は nCr  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)n の一般項は nCr an-r br  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)nnC0 an b0nC1 an-1 b1nC2 an-2 b2 + … + nCr an-r br + … + nCn a0 bn



【問】
(1) nC0nC1nC2 + … + nCn を計算すると、どうなる?
 たとえば、10C010C110C2 + … + 10C10 の値を簡単に求める方法は?

(2) nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn はどうだろう?
 要するに「(a+b)n の展開式の係数を、交互に足したり引いたりしたらどうなるか?」ということだ。
 n のまま書くと n が偶数か奇数かによって最後の符号が違うので、そこを「+(-1)nnCn」と書いた。
   具体的にいうと、「9C09C19C29C3 + … - 9C9 はいくつか?」、
  「10C010C110C210C3 + … + 10C10 はいくつか?」ということだ。

(3) nC0nC2nC4 + … はいくつ?
  nC1nC3nC5 + … は?
  これも n が偶数か奇数かによって最後の書き方が違ってくるから書きにくいのだが、
   要するに 「nC偶数 の和」 はいくつか、「nC奇数 の和」 はいくつかということだ。



《答》
(1) (※)式の右辺に a=1 , b=1 を代入すると nC0nC1nC2 + … + nCn となる。(← 1 は何乗しても 1 )
   また(※)式の左辺に a=1 , b=1 を代入すると (1+1)n = 2n となる。
   よって、nC0nC1nC2 + … + nCn = 2n が成り立つ。
   だから、たとえば「10C010C110C2 + … + 10C10」をまともに計算するより「= 210 = 1024」とやった方が楽だということ。
   では、ここで「10C010C110C2 + … + 10C10 = 210 = 1024」を別の言い方で説明しよう。
  「10枚のトランプを投げて、それぞれが表か裏になる。全部で何通りあるか?」を考える。
   ある人の数え方は「1枚目のトランプは表か裏の2通り、2枚目のトランプも表か裏の2通り … 10枚目のトランプも表か裏の2通りだから、場合の数は 210 = 1024 通り」と答えた。
   また別のある人は「表が0枚(全部裏)になるのは 10C0 通り、表が1枚(裏が9枚)になるのは 10C1 通り、表が2枚になるのは 10C2 通り … だから、総数は 10C010C110C2 + … + 10C10 通り」と答えた。
   さて、この場合、どちらの数え方も正しい。前者の数え方の方が良いような気もするが、後者の数え方も間違いではない。
  よって「10C010C110C2 + … + 10C10 = 210 = 1024」である。
   そのように考えても「nC0nC1nC2 + … + nCn = 2n」を納得できるだろう。

(2) (1) では(※)式の右辺に a=1 , b=1 を代入したが、(※)式の右辺に a=1 , b=-1 を代入すれば
   nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn となる。
   また(※)式の左辺にも a=1 , b=-1 を代入すると、左辺は (1-1)n = 0n = 0 となる。
   よって nC0nC1nC2nC3 + … + (-1)n nCn = 0 である。

(3) (2) の項のうち符号がマイナスのものを右辺に移行する(符号がプラスのものだけを左辺に残す)と、
   nC0nC2nC4 + … nC1nC3nC5 + …  となる。
   すなわち「nC偶数 の和」と「nC奇数 の和」は等しい。では、その値はいくつだろうか?
   次に (1) の結果を見てみよう。要するに「nC偶数 の和」と「nC奇数 の和」が同じで、合わせて 2n なのだから、
  「nC偶数 の和」はその半分、「nC奇数 の和」もその半分である。
   すなわち nC0nC2nC4 + … = nC1nC3nC5 + … = 2n/2 = 2n-1 となる。たとえば、
   10C010C210C410C610C810C1010C110C310C510C710C9 = 29 = 512
  9C09C29C49C69C89C19C39C59C79C9 = 28 = 256 である。

2項定理、練習問題(1)

          〜2項定理〜
○ (a+b)n の展開式の an-r br の係数は nCr  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)n の一般項は nCr an-r br  (ただし、r=0 , 1 , 2, … , n)
○ (a+b)nnC0 an b0nC1 an-1 b1nC2 an-2 b2 + … + nCr an-r br + … + nCn a0 bn



【問】
 (1) (a+b)10 の展開式の a3 b7 の係数は?

 (2) (2a-3b)7 の展開式の a4 b3 の係数は?

 (3) (x2-1/2x)9 の展開式の 定数項 は?



《答》
(1) 10C710C3 = 10・9・8/3・2・1 = 120 

(2) 7C3 (2a)4 (-3b)37C3 24 (-3)3・ a4 b3 -15120 a4 b3

(3) 一般項は 9Cr (x2)9-r (-1/2x)r9Cr (-1/2)r・x18-2r・x-r9Cr (-2)-r・x18-3r
   r=6 のとき x18-3r = x0 = 1(定数)となる。このとき 9C6 (-2)-6 21/16

2019年8月4日日曜日

箱根カルデラ

 これから日帰りで箱根に行く予定。予習のつもりで国土地理院の地図(→ http://maps.gsi.go.jp )を開いてみた。「陰影起伏図」で見ると、箱根がでっかいカルデラであることがよくわかる。面積では富士山にも匹敵する大きさだ。阿蘇よりはさすがに小さいが。


 国土地理院の地図には「色別標高図」とか「赤色立体図」とか、さらには「伊能図」などの「古地図」(→ https://kochizu.gsi.go.jp/ )もあって、その多くが無料で使える。使わにゃ損だな。税金払ってるわけだし。